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令和4年度 予算特別委員会 本文 開催日: 2022-03-15

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  1. 福岡県議会 2022-03-15
    令和4年度 予算特別委員会 本文 開催日: 2022-03-15


    取得元: 福岡県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-08
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1    令和四年三月十五日(火曜日)    午 前 十 一 時 零 分 開 議 ◯吉松源昭委員長 おはようございます。定足数に達しておりますので、ただいまから委員会を開きます。  本日は、令和四年度福岡県一般会計予算の歳出、第五款生活労働費及び第六款農林水産業費の審査を予定いたしております。よろしくお願いいたします。  それでは、第五款生活労働費について順次説明を求めます。徳永人づくり・県民生活部長。 2 ◯徳永人づくり・県民生活部長 五款生活労働費のうち、人づくり・県民生活部所管分について御説明いたします。令和四年度予算に関する説明書二百五ページをお願いいたします。  一項県民生活費でございます。その主なものは、一目県民生活総務費の右側の説明欄一番上の職員費でございます。  一枚おめくりいただきまして、二百七ページをお願いいたします。二目県民生活対策費でございます。その主なものは、右側の説明欄、上から二番目アクロス福岡運営事業費でございます。これはアクロス福岡の特定天井改修工事等に要する経費でございます。  一枚おめくりいただきまして、二百八ページをお願いいたします。一項県民生活費の総額は一番下の計欄に記載しておりますとおり、九十四億七千百万円余でございます。  説明は以上でございます。御審議のほどよろしくお願いいたします。 3 ◯吉松源昭委員長 後藤福祉労働部長。 4 ◯後藤福祉労働部長 引き続き、五款生活労働費のうち、福祉労働部所管分について御説明を申し上げます。同じく令和四年度予算に関する説明書の二百九ページをお願いいたします。  二項福祉企画費でございます。主なものは、一目福祉総務費の右側、説明欄の上から三段目、福岡県総合福祉施設運営費でございます。これはクローバープラザの管理運営や施設整備に要する経費でございます。二項の総額につきましては、一枚おめくりをいただきまして、二百十一ページ下の欄でございます。計欄にありますとおり、三十九億六千百万円余でございます。  次のページ二百十二ページをお願いいたします。三項児童家庭費でございます。主なものは、恐れ入ります、また一枚おめくりいただきまして、二百十四ページをお願いします。二項児童措置費、説明欄の上から二段目、保育給付費負担金でございます。これは保育所や認定こども園等の運営に対する県負担金等でございます。総額につきましては、恐れ入ります二百十八ページをお願いいたします。上の計欄にありますとおり、六百一億五千六百万円余でございます。  下の四項障がい者福祉費でございます。主なものは一枚おめくりいただきまして、二百二十ページをお願いします。一番下にございます三目障がい措置費、説明欄の一番上、障がい者援護措置費でございます。これは障がい福祉サービスに係る自立支援給付費の県負担金等でございます。総額でございますが、二百二十三ページをお願いいたします。計欄にありますとおり、五百二十五億二千百万円余でございます。  すぐ下の五項生活保護費でございます。主なものは、二百二十五ページをお願いいたします。二目扶助費の説明欄の上段、生活保護費でございます。これは町村の区域における生活保護に要する経費でございます。総額につきましては、計欄にございますとおり、三百三十九億七千万円余でございます。  下の六項社会福祉費でございます。主なものは、二百二十六ページをお願いいたします。二目子ども等医療対策費の説明欄の子ども、重度障がい児者、ひとり親家庭等の三つの医療対策費でありまして、これは、それぞれの医療費について一定部分を県費で助成するものでございます。総額につきましては、二百二十九ページをお願いします。上のほうでございます。計欄にありますとおり、百八億八千二百万円余でございます。  下の七項労働企画費でございます。主なものは、一目労働総務費の説明欄の下から二段目、中小企業労働力確保対策費でございます。これは求職者が中小企業へ就職する場合の支援等に要する経費でございます。総額につきましては、二百三十二ページをお願いいたします。計欄にございますとおり、十八億二千九百万円余でございます。  下の八項職業訓練費でございます。主なものは、一枚おめくりいただきまして、二百三十四ページをお願いします。二目職業訓練費、説明欄の下から二段目、職業訓練費でございます。これは高等技術専門校におけます職業訓練経費等でございます。総額につきましては、下の二百三十五ページの計欄にございますとおり、三十九億四千二百万円余でございます。  下の九項失業対策費一目雇用促進費は、三億五千九百万円余でございます。主なものは、説明欄の一番下、中高年齢者等雇用促進費でありまして、これは現在は七十歳現役応援センターでございますが、来年度からは名称を生涯現役チャレンジセンターに改称の予定でございますが、このセンターの運営等に要する経費でございます。
     説明は以上でございます。御審議のほどよろしくお願いいたします。 5 ◯吉松源昭委員長 野口労働委員会事務局長。 6 ◯野口労働委員会事務局長 それでは、五款生活労働費のうち労働委員会事務局所管分について御説明いたします。説明書の二百三十六ページをお願いいたします。  十項労働委員会費でございますが、委員報酬や事務局職員の人件費など委員会運営に要する経費として、一枚おめくりいただいた二百三十八ページの一番下計欄にありますとおり、二億三千五百万円余をお願いしております。  説明は以上でございます。御審議のほどよろしくお願いいたします。 7 ◯吉松源昭委員長 説明は終わりました。  これより質疑を行います。質疑はありませんか。吉村悠委員。 8 ◯吉村 悠委員 おはようございます。自民党県議団の吉村悠です。  福岡県スポーツコミッション事業について、さわやかに質問させていただきたいと思います。  昨年十月に北九州市で開催されました世界体操・新体操選手権は、東京オリ・パラ大会以降では国内初の大規模な国際スポーツ大会として注目されました。コロナ禍でありながらも、世界各地から選手・関係者を迎え入れ、またワクチン接種検査パッケージを導入して一〇〇%の有観客で開催し、大会期間中新規陽性者は選手・関係者から数名のみと、感染拡大を最小限に抑え、北九州モデルと呼ばれる安全・安心な大会となりました。県民にとっては、身近な地域で開催される世界大会を間近に感じ、感動と夢を与えるものになりました。改めてスポーツの力というものを実感する機会となったところです。そして、福岡県における次なる国際大会として、執行部から示された令和四年度当初予算案にツール・ド・九州二〇二三という国際サイクルロードレースの開催準備に関する予算が、福岡県スポーツコミッション事業の中に計上されております。二〇二三年に国際サイクルロードレースが福岡県を含む九州各県で開催されるとのことです。コロナ禍で沈んだ県民の心をスポーツの力で活力を与えるような大会になることを期待しております。  そこでお伺いをいたします。二〇二三年の開催を目指しているツール・ド・九州二〇二三について、福岡県における大会の実現に向けた現在の取組状況についてお答えください。 9 ◯吉松源昭委員長 坂田スポーツ企画課長。 10 ◯坂田スポーツ企画課長 ツール・ド・九州につきましては、九州・山口各県を国内外のプロチームが走行する国際サイクルロードレースを目指しております。初年度の二〇二三年は福岡県、熊本県、大分県の三県が参加表明しております。  本県では、福岡県を北から南へ縦断する風光明媚でアップダウンに富んだ全国に類を見ない百六十キロほどのコースを目指しております。現在、ルート上の市町村や警察など関係機関と協議を進めているところでございます。来年度は、この走行ルートを日本自転車競技連盟の承認の上、大会開催一年前までに国際自転車競技連盟に国際認定をしていただきたいと考えており、そのための協議調整を進めております。 11 ◯吉村 悠委員 風光明媚でアップダウンに富んだ全国に類を見ないコースということでした。力強いお答えだと思います。風光明媚でアップダウンに富むといえば、我がまち北九州にも、自然と風景が有名な日本有数のカルスト台地である平尾台がありますので、よろしくお願いいたします。北九州に限らず福岡県にはたくさんの名所がありますので、ぜひとも協議をしながら、すばらしいコースづくりをお願いしたいと思います。この大会が実現できれば、福岡県のみならず九州全体の魅力を世界に向けてPRできるすばらしい機会となります。来年度には、この機運醸成イベントとして、バーチャルツール・ド・九州の実施に関する予算案が計上されていますけども、これはどのような内容でしょうか。 12 ◯坂田スポーツ企画課長 ツール・ド・九州の開催一年前イベントとしまして、来年度秋に、福岡ステージの走行ルートを専用のアプリによりバーチャル上で再現したオンラインレースを開催したいと考えております。具体的にはプロレース部門として国内外の招待選手を約二十名、ファンレース部門としてインフルエンサーや地元の自転車愛好家を約二十名、合計約四十名集めた大会を二日間にわたって開催したいと考えております。ここで実際の福岡ステージの走行ルートを体験いただき、その様子をSNS等で配信し、また参加したインフルエンサーの方々にも配信していただき、多くの方々にツール・ド・九州を見て知っていただくイベントにしたいと考えております。 13 ◯吉村 悠委員 機運醸成はすばらしいことと思うんですけど、約四十名集めた大会ということで、数が少ないような気がしております。それを頭に入れた上で、今年度、スポーツ立県調査特別委員会において宮城県に管外視察を行い、ツール・ド・東北の取組をスタートしたと聞いております。このツール・ド・東北においてもバーチャル大会を開催しているとのことでしたけども、その大会には何人が参加したんでしょうか。 14 ◯坂田スポーツ企画課長 ツール・ド・東北は、二〇一三年から実施しておりますサイクルルードレースでありまして、例年約三千人以上の一般の方々が参加しております。直近二年は、新型コロナウイルスの影響により大会が中止となった代わりに専用アプリを活用したツール・ド・東北バーチャルライドが開催されました。  この専用アプリ上にレースとチャレンジの二つのイベントを用意し、あらかじめ決められた日時に一斉でスタートするレースには三日間三種類のコースに約四千三百人が参加しております。チャレンジは一人でいつでも自由に三種類のコースに参加できるものであり、一か月の期間中約四千人が参加しております。イベント全体で約八千三百人が参加したことになります。 15 ◯吉村 悠委員 ツール・ド・東北が累計で約八千三百人が参加しているのに対し、福岡県ではプロ、インフルエンサー含め四十人だけの参加ということでした。会場を用意されていると思うんですけど、その会場に来なくても参加できるのがオンライン大会のいいところだと考えております。この機能を生かして、もっと多くの方々に参加していただくことはできないのでしょうか、お答えください。 16 ◯坂田スポーツ企画課長 バーチャルツール・ド・九州は、専用のアプリを活用してオンライン大会を開催するものでございますが、昨今のコロナ禍でこうしたアプリの普及が進んでおり、世界中で登録者数が五十万人を超えるものもあります。委員御指摘のとおり、このようなアプリを活用すれば、先ほど御説明しましたバーチャルツール・ド・九州のイベントに一般の方々が参加することも可能になりますし、イベント実施日以外にも誰でも御自身の都合のよい時間に福岡ステージの走行ルートを体験することが可能になります。今後、使用する専用アプリの選定、アプリにおけるバーチャルレースの仕様等について事業者と協議を進め、多くの方々がオンライン上で参加できる仕組みにしてまいります。 17 ◯吉村 悠委員 たくさんの方が参加できるようにしていくということで、先ほどお答えいただいた東北での取組を参考にしながら、福岡県の走行ルートを多くの方々にバーチャル上で体験していただける仕組みをぜひ講じていってください。  一方で、国際サイクルロードレースが本県で開催されると、レースの魅力、面白さ、これを間近で見ることができるということを県民に知ってもらうことも必要だと思います。これにバーチャルツール・ド・九州を活用できるんじゃないでしょうか。県内の市町村と連携を取って、広く県民に参加を働きかけてはどうですか、お答えください。 18 ◯坂田スポーツ企画課長 委員御指摘のとおり、本大会を県民の皆様に知っていただくには、バーチャルツール・ド・九州が大変よい機会となります。そのため、市町村にも御協力いただき、バーチャルツール・ド・九州のイベントの周知と参加を呼びかけてまいります。また、市町村等が実施します各種のサイクルイベントスポーツイベントに体験ブースを設置するなど多くの方々に体験していただく機会を設けたいと考えております。これにより、サイクルロードレースの魅力と面白さを感じていただき、大会当日には、ぜひとも多くの県民の皆様に世界トップレベルの選手たちが目の前を疾走する姿を間近で見ていただきたいと思います。 19 ◯吉村 悠委員 まず、たくさんの方々に経験をしていただくことも重要だと思いますが、肝要なのは、今回のバーチャルツール・ド・九州を体験した多くの方々が、二〇二三年に開催されるツール・ド・九州二〇二三を実際に見に来てもらい、そして、実際に自分でそのコースを走るために九州に、福岡県に来たくなるような仕掛けをつくることだと思います。これに関してどのように取り組むんでしょうか。 20 ◯坂田スポーツ企画課長 バーチャルツール・ド・九州につきましては、実際の走行ルート上に存在するすばらしいロケーション、雄大な自然とともにアップダウンに富んだ魅力あるルートをよりリアルに体験していただくのに適したアプリを選定し、バーチャルコースの作成を行いたいと考えております。このようなバーチャルツール・ド・九州を各所でPRし、体験いただくことに加え、大会自体の見どころのほか、ルート上に存在する観光スポット、地域の文化・食などの魅力を伝えるプロモーション動画を作成し、SNS広告などを活用して国内外に発信し、本県への誘客につなげたいと考えております。 21 ◯吉村 悠委員 このバーチャル大会に八千人ほどの参加を募ることが可能であり、さらに本大会への誘客につなげるための取組もお答えしていただきました。福岡県及び九州の魅力を国内はもとより世界に発信していくためにも、ぜひともこの大会は成功させていただきたいと思います。  最後に、大会の成功に向けた局長の決意をお伺いいたします。 22 ◯吉松源昭委員長 中平スポーツ局長。 23 ◯中平スポーツ局長 今回新たに創設をしようとしておりますツール・ド・九州の福岡コースは、この大会を国内外の方々に福岡県の魅力を伝える機会ともしたいとの思いから、先ほど課長も御答弁申し上げましたが、全国に類を見ない約百六十キロにも及ぶコースを設定しております。このため、国際認定から大会開催までまだまだ様々な課題が山積みしておりますが、私自身非常に魅力的なコースであると自負をしております。その実現に向け、今後、熊本・大分両県、地元経済界や自転車競技団体などの皆さんとしっかり連携を図り、これらの課題が確実に解決していくよう取り組んでまいります。  また、今回、委員から御指摘いただきました観点も取り入れながら、大会自体の魅力と合わせ、本県、九州が持つ観光や文化、食といった魅力を広く世界にPRし、多くの方々が本県にお越しいただけるよう庁内関係部局はもとより、市町村の皆さんと一緒に知恵を絞り、今大会がコロナからの、そして毎年のように襲い来る自然災害からの復興の象徴として、県民の皆様に勇気と感動、活力を与えることができるものとなるよう、大会の成功に向けてしっかりと取り組んでまいる覚悟であります。 24 ◯吉村 悠委員 福岡の発展に寄与しますようしっかりと取り組んでください。よろしくお願いします。終わります。(拍手) 25 ◯吉松源昭委員長 ほかに質疑はありませんか。冨永芳行委員。 26 ◯冨永芳行委員 民主県政クラブ県議団の冨永芳行でございます。通告に従いまして質問をさせていただきます。  二〇一九年四月一日から、働き方改革関連法が順次施行され、全国で働き方改革の取組が進められています。本県においても、国・県関係機関等が集うチャレンジふくおか「働き方改革推進協議会」が二〇一六年に設置され、昨年三月には第二期地域推進プランが策定されるなど取組が進行しているものと承知しています。  まず一点目に、働き方改革で目指す姿について協議会の地域推進プランではどのように位置づけられているのか、お聞きいたします。 27 ◯吉松源昭委員長 上村労働政策課長。 28 ◯上村労働政策課長 お尋ねの協議会で昨年三月にまとめた地域推進第二期プランの中で、働き方改革で目指す姿を整理しています。具体的には働き方改革は、働く人の置かれた個々の事情に応じ、多様な働き方を選択できる社会を実現し、働く一人一人がよりよい将来の展望を持てるようにすることを目指すための取組であり、これにより多様な人材の労働参加や働く人のモチベーション、労働生産性の向上が図られ、同時に企業の生産性や収益力の向上にもつながる可能性があるとの整理をしております。 29 ◯冨永芳行委員 それでは、県として働き方改革の推進に向けて、これまでどのような取組を行ってきたのかお聞きします。 30 ◯上村労働政策課長 県としては、これまで働き方改革推進大会を開催し、基調講演やパネルディスカッションなどを通じて機運醸成を図るとともに、県独自の働き方改革推進事業ポータルサイトを運用し、県内企業の先進事例について情報発信してまいりました。令和二年度からは、働き方改革地域実践事業を実施し、県内四地域それぞれで企業向けにワークショップ形式の研修とアドバイザーによる伴走支援を組み合わせた支援を提供しております。  こうした取組により、自社の働き方改革の取組を県のポータルサイト上で宣言し実行する、よかばい・かえるばい企業の登録数は登録を開始した平成三十年度に五十社だったものが、直近の三月九日時点では六百二十二社まで増えております。 31 ◯冨永芳行委員 ありがとうございます。先日、ある企業の人事担当者とお話しする機会があり、とりわけ若手社員が、例えば課題対応能力や対人対応能力など、長い社会人生活の中で変化にも対応しながら活躍していける力を身につけていく必要があるということ。そして、コロナ禍で思うような学生生活を送れなかったといった学生方がいる一方で、新たな機会や取組を我々が考えつかない経験をしてきた学生もいるということでした。多様な人材を受け入れて企業価値向上のために様々に取り組みたいと言われたのは非常に印象的でございました。  働く方が様々な力を身につけながら活躍するには、もちろん御本人の努力が必要であることは言うまでもありませんが、それと併せて、今働いている企業の中で働く側が意欲的に学び成長し、そして活躍できる環境を企業側が整えていくことも大事だと考えます。そうしたことが企業価値を向上させるという理解を広げ、前向きに働き方改革の取組を進めていってほしいと考えています。  そこで、先ほど県の働き方改革の取組として触れていただきました、働き方改革地域実践事業で実際に支援した県内企業の中で今申し上げたような視点、つまり企業の中で労働者が意欲的に学び成長し活躍できるようにするための環境を整えていくという取組を実践している企業があるのか、お聞かせください。 32 ◯上村労働政策課長 これまで県の実践事業で支援をした企業の取組事例の中では、例えば、若手の人材育成などを目指して公正な人事評価制度の構築を進めている事例、社員のスケジュール管理の仕方を改良し、効率を高めることで社員のスキルアップの時間の確保に取り組んでいる事例、職場の課題解決を上司と部下、先輩と後輩などペアで取り組むことで職場での人間関係やコミュニケーションを活性化させ、社員のやりがいや意欲の向上に取り組んでいる事例などがございます。 33 ◯冨永芳行委員 そうした事例があるのであれば、ほかの企業に波及させていただきたいと考えます。県としてどのように工夫をしているのかお聞かせください。 34 ◯上村労働政策課長 県の実践事業の参加企業が、自らの取組を地域の他の企業向けに直接プレゼンする報告会の場を昨年度から県内四地域ごとに設けており、令和二年度は九十七社、令和三年度は百六十五社の企業に参加していただいております。加えて、そうした取組事例を事例集として整理し、ポータルサイトで情報発信するなどにより取組の横展開を図っております。 35 ◯冨永芳行委員 身近な地元企業がこういった取組をしているんだということが分かれば、それを知った県内企業が自分のところでも頑張ってみようという気持ちになるのではないかと思います。今後も県として身近な取組事例をうまく情報発信していただき横展開していただきたいと思います。  さて、働く方がその能力を高めていくためには、初めての職場である程度の経験と知識を積むこと、これが大事だと思います。福岡県では、以前から新規大卒者離職率の高さが指摘されているところです。私自身も東京の大学を出て、新卒で県内の民間企業に十年弱勤めていました。周囲の理解や協力もあって、思い切ってこの世界に飛び込んだわけですけれども、私のプロフィールを見て、離職を後押しするように助言を求めてくる若い方もよくいらっしゃいます。若者が考えてステップアップのための転職をするのであれば、それは歓迎されるべきことだと考えますけれども、安易な早期離職はいろいろな問題が出てくるようにも思います。  そこで、本県の新規大卒者の早期離職の状況について全国と比較した場合どのようになっているのか、お尋ねいたします。 36 ◯上村労働政策課長 福岡労働局によると、平成二十九年三月卒の新規大卒者の卒業後三年以内の離職率は、全国平均が三二・八%であるところ、福岡県は三五・五%と全国平均を上回っております。 37 ◯冨永芳行委員 本県内の新規大卒者の三人に一人が三年以内に離職をしてしまっているということでした。若者の早期離職の課題やその原因について、県としてどのように考えているのかお尋ねいたします。 38 ◯上村労働政策課長 本人が納得いくキャリアをつくり上げていくための離職は、必ずしも否定されるべきものではないと考えますが、過去の厚生労働白書でも指摘があるとおり、初期のキャリアが形成される以前の段階での安易な離職は、その後不安定な雇用につながる、将来的なキャリア形成に支障が出るなどの課題があるものと認識をしております。  また、早期離職の要因については、平成三十年版子供・若者白書に掲載された初職の離職理由によりますと、仕事内容、労働条件のミスマッチや職場の人間関係に起因する不満などが要因として考えられます。  また、令和元年度の県の労働政策審議会では、公労使の委員から、若者のコミュニケーション能力や企業側の意識に課題があるとの意見もいただいております。 39 ◯冨永芳行委員 今説明いただきました若者就職支援センターでの定着支援の取組は、未来ある若者を支援する取組の一つとして意義のあるものだと考えます。若者の不安や悩みに寄り添うこうした支援をもっと周知していただき、利用を促してもらいたいと思います。県として今後もしっかり取り組んでいくということを局長から答弁いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。 40 ◯吉松源昭委員長 中島労働局長。 41 ◯中島労働局長 若者就職支援センターのアドバイザーによりますフォローアップ支援を進める中で、若者が抱える悩みというものが、就労の段階に応じて変化していくということが分かっております。例を挙げますと、採用決定直後は仕事の忙しさや自分の能力への不安、入社から三か月たちますと人間関係など職場の状況が分かってきたことによる悩み、入社から半年ほどたちますと現在の職場や仕事でキャリアアップが果たしてできるのかといった将来への不安、こうしたものでございます。こうした若者の不安や悩みに丁寧に寄り添い、将来に向かって希望を持ってしっかりと前を向いていっていただけるよう、県として背中を押していくということが重要であると考えております。  したがいまして、県といたしましては、県内四地域ごとに設置しております若者就職支援センターにおきまして、若者お一人一人が直面する状況に応じた支援を引き続きしっかりと進めてまいります。また、県内の支援を必要とする若者に的確に支援をお届けできますよう、SNSの活用なども含めて周知に努めてまいります。 42 ◯冨永芳行委員 若者が成長し、生き生きと活躍できる労働市場を形成していくことが大事なことだと思います。福岡の労働市場が若者の成長を意識しているというメッセージを発信できれば、若者の福岡県へのUIJターンなどに拍車がかかり、働く方にも企業にも選ばれる福岡県になるのではないかと考えます。  県として、企業に労働関係法令を遵守してもらうということからさらに一歩進んで、若者をはじめ、あらゆる世代、そして様々な立場の方が活躍できる魅力ある職場づくりに向けて、攻めの働き方改革を推進していただきたいと思います。  最後に、福岡県内での働き方改革の一層の推進に向けて部長の決意をお聞きいたします。 43 ◯吉松源昭委員長 後藤福祉労働部長。 44 ◯後藤福祉労働部長 先ほど課長、局長から御答弁差し上げました、若者の安易な早期離職を防ぐためのフォローアップ支援、また、やむを得ず離職されました方々に対します早期の再就職支援、こうしたことに引き続きしっかり取り組んでまいります。同時に、自ら夢を持ち、前向きな転職でキャリアを積み上げて成長していきたいという若者のチャレンジを応援していくことができる福岡県の労働市場をつくっていくことも、また大切なことであると考えております。若者をはじめ、多様な人材が活躍できる魅力ある職場づくり、また労働生産性の向上や企業の生産性、収益力の向上につなげていくという働き方改革のメリットを労働者の皆さん、また企業の経営者の方々双方に理解をしていただく必要があると考えております。今後とも、国、経済団体、労働団体など関係機関と連携し、しっかりと県として積極的に働き方改革の取組を推進してまいります。 45 ◯冨永芳行委員 終わります。(拍手) 46 ◯吉松源昭委員長 ほかに質疑はありませんか。立川由美委員。 47 ◯立川由美委員 日本共産党の立川由美です。  通告に従い、生活困窮者対策について質問いたします。  新型コロナウイルス感染拡大により突然の失業や休業、時短などで生活困難に陥った方が多数おられます。国は、生活福祉資金特例貸付けなどで生活困窮者を支えました。新型コロナウイルス感染症対策としての生活福祉資金特例貸付けと生活困窮者自立支援金の制度概要と予算、実績についての資料を執行部にお願いしておりますので、委員長、お取り計らいをお願いいたします。 48 ◯吉松源昭委員長 お諮りいたします。  ただいま立川委員から要求がありました資料を委員会資料として要求することに御異議ありませんか。      〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕 49 ◯吉松源昭委員長 御異議がありませんので、本委員会の要求資料といたします。  執行部に申し上げます。ただいま立川委員から要求がありました資料については提出できますか。横溝保護・援護課長。 50 ◯横溝保護・援護課長 直ちに提出いたします。 51 ◯吉松源昭委員長 資料を正副委員長に確認させてください。      〔資料確認〕 52 ◯吉松源昭委員長 事務局は資料を配付してください。      〔資料配付〕 53 ◯吉松源昭委員長 資料が配付されましたので、立川委員、質疑を行ってください。 54 ◯立川由美委員 簡潔に資料の説明をお願いいたします。 55 ◯横溝保護・援護課長 資料の一、生活福祉資金の特例貸付の(一)制度概要ですが、新型コロナの影響による失業や休業などにより収入が減少した世帯に対し令和二年三月から生活費として上限二十万円の緊急小口資金、上限が現在六十万円の総合支援資金、この二種類の貸付けを行っております。いずれも無利子で貸付け種別ごとの償還期限及び償還免除の要件は資料記載のとおりでございます。これらの貸付けにより昨年六月までは総合支援資金の延長貸付けと再貸付けを合わせて最大二百万円までの借入れが可能でした。特例貸付けの累計予算額は資料の一、(二)のとおり、令和元年度二月補正から今年度二月補正の議決済み予算の合計は約九百七十九億三千四百万円、(三)の今年一月末までの貸付実績は両貸付け合わせて十八万六千百四十八件、約七百七十六億一千百万円となっております。  次に資料の二、生活困窮者自立支援金の(一)制度概要でございますが、特例貸付けを利用できなくなった世帯のうち、収入や資産の要件等、求職活動または生活保護申請をするという要件を満たす世帯に対しまして令和三年七月から支給を開始し、現在では最大六十万円を支給するものでございます。本県が支給実施いたします町村部にお住まいの方に対する支援金の予算額は、資料二、(二)のとおり約三億二千九百万円、今年一月末までの支給実績は(三)のとおり三百七十三件、約六千三百万円となっております。 56 ◯立川由美委員 生活福祉資金特例貸付けは、九百八十九億円の予算に対し七百七十六億円の貸付実績になっているとのことです。小口資金、総合支援資金共に九万件を超える利用があり、急場をしのぐ役割を果たしたと思います。  しかしながら、総合支援資金の延長に対しては、本県の対応は他県と比べても大変厳しく、要件を満たしている方も延長できない事例が相次ぎました。また、自立支援金は県は町村分だけということですが、それにしても七か月間で三百七十三件は少な過ぎるのではないでしょうか。予算的にも三億三千万円の二割程度となっています。県全体でも八千三百件余ですから、困窮者に手の届く制度にはなっていません。国に対し、要件の緩和を求めていただきたいと思います。  今後償還が始まりますが、長引くコロナ禍の中で困窮者の生活は不安定のままです。厚労省は当初、償還開始時非課税の場合、償還を免除すると説明していました。非課税の定義は明確にしないまま、制度開始から一年後に住民税非課税と規定しました。しかし、住民税非課税は単身で年収百万円程度であり、これを少しでも超える場合に償還を求めるということは生活破壊につながるのではないでしょうか。我が党は、直接厚労省にも償還免除の規定を住民税非課税、均等割なしから、せめて所得割なしに要件緩和すべきと求めてきました。免除基準について県はどのようにお考えでしょうか。 57 ◯横溝保護・援護課長 貸付金の返済が生活の立て直しの妨げとなってはならないと考えております。このため、本県では、全国知事会を通じて国に対し償還免除の要件緩和や償還猶予制度の弾力的な運用を行うよう要望しております。なお、先ほど委員から御発言がありました自立支援金の要件緩和についても、国に対して要望をしているところでございます。  一方、償還開始後においても生活にお困りの方には、県及び市が設置いたします自立相談支援機関が、御本人の状況に応じて家計改善に対する助言や就労に向けた支援を行い、お困りの状況が改善されるようサポートしてまいります。 58 ◯立川由美委員 国に対して強力に要件緩和を求めていただくようお願いします。  次に、最後のセーフティネットである生活保護について伺います。コロナ禍において生活保護世帯数及び申請件数はどのように変化しているのかお答えください。 59 ◯横溝保護・援護課長 新型コロナウイルスが国内で初めて確認された令和二年一月時点の生活保護世帯は九万四千五百七十二世帯であり、コロナ禍においても対前年同月比で減少傾向にありましたが、コロナの第五波の中である令和三年八月以降は対前年同月比でほぼ横ばいで推移をしております。令和三年十二月時点では九万四千三百十三世帯となっております。なお、生活保護の申請件数については令和二年で一万一千六百五十二件に対し、令和三年は一万二千二百六十五件と五・三%増加している状況にあります。 60 ◯立川由美委員 申請は増えているが、世帯数はやや減っているということですね。生活保護の捕捉率はそもそも二割から三割と言われています。困窮者が増えているにもかかわらず、保護世帯がそれほど増加していないのは、生活福祉資金が一定の防波堤になったことと、保護だけは受けたくないという意識がやはり強いことが考えられます。厚労省は、コロナ禍保護決定の要件緩和を行い、車の保有などの資産活用、稼働能力活用の判断等について弾力的な運用を認め、県は、これに従って周知徹底と指導を行ってきたと承知をしております。国も、保護基準以下の世帯が増えるとの見通しからこのような要件緩和を行ったと思いますが、実際の窓口では運用見直しが行われていない可能性も考えられます。市町村において弾力的運用が徹底されているのでしょうか、お尋ねいたします。 61 ◯横溝保護・援護課長 新型コロナの影響により生活保護が必要となった方については、収束後の自立を考慮し、国から、通勤用自動車や生命保険などの資産について半年から一年程度処分を保留するといった弾力的運用を行うよう通知されております。  また、自動車については、処分期限が経過した場合であっても経済活動への影響が収束した後に収入が増加すると考えられる場合は処分指導を行わないものとして差し支えないと通知されております。  国からの通知があった際は、政令市、中核市を除く各福祉事務所に速やかに周知するとともに、今年度県が実施いたしました福祉事務所に対する施行事務監査においても通知の趣旨に沿った運用を徹底するよう指導しているところであり、適切に対応していることを確認しております。 62 ◯立川由美委員 引き続き指導を徹底するとともに、県内で差が生じないよう政令市、中核市も含めた共通認識に努めていただきたいと思います。  次に、生活保護の扶養照会についてお伺いします。扶養照会は義務ではないとの国会答弁を受け、昨年二月厚労省は、扶養照会に関する要領を一部改正する通知を出しました。扶養照会は保護申請の大きな障害となっていますが、二〇一七年の調査では年約四十六万件の扶養照会のうち援助につながったのは一・四五%とのことです。本県の場合はどの程度の率か把握されていますか、お答えください。 63 ◯横溝保護・援護課長 二〇一七年に国が実施した扶養照会に係る調査については、都道府県ごとの集計結果が公表されておりません。県においては、文書の保存期間が経過しているため確認することができません。 64 ◯立川由美委員 本県分については分からないとのことですが、恐らく国と同じ傾向であろうと推測します。国民の所得が増えない中で、扶養したくてもできないという御家庭がほとんどではないでしょうか。扶養照会は申請者にとっても、扶養義務者にとっても、精神的に大きな負担です。本県の扶養照会通知には、扶養が生活保護に優先するとの文言があります。生活保護法第四条に基づくものですが、これは扶養が義務であるとの印象を与えます。文言を改めるべきだと考えますが、見解を伺います。 65 ◯横溝保護・援護課長 生活保護は、利用し得る資産、能力その他あらゆるものを生活の維持のために活用することを要件として行われますが、扶養については保護に優先して行われるものとされております。
     保健福祉環境事務所が実施している現在の扶養照会の文書は、扶養が保護に優先されるという法律の趣旨を伝えているものですが、文書を受け取った方によっては、より強い意味に受け止められてしまうことも考えられるため、新年度からは扶養が義務であるとの誤解を与えない文言とする予定としております。 66 ◯立川由美委員 文言を改めるとのことです。よろしくお願いします。  最後に、貧困の連鎖を断ち切るための教育の保障についてお伺いします。生活保護基準の引下げが裁判でも問題になっており、違法との司法判断も出ています。SDGsのゴールの一つでもある貧困の克服を進める上でも、生活保護基準を元に戻し、貧困の連鎖を断ち切り、自立の道を保障していくことが重要だと考えます。とりわけ子供が大学等に進学する際に世帯分離をすることとなっており、当該世帯に対する保護費が縮減されることから進学の大きな支障になっています。大学生等の世帯内就学と就学等に必要な費用を認めるなど進学保障を行うべきだと考えます。見解を伺います。 67 ◯横溝保護・援護課長 生活保護は原則世帯単位で行われますが、世帯の子供が大学に就学する場合、世帯内、世帯外にかかわらず、世帯から分離する取扱いとされております。ただし、貧困の連鎖を断ち切り、生活保護世帯の子供の自立を助長するため、大学等へ進学する際の新生活立ち上げ費用として、入学に伴い転居する場合は三十万円、それ以外は十万円を一時金として支給し、大学就学中は世帯分離されているものであっても住宅扶助を減額しない措置の対象としております。  なお、生活保護以外では、令和二年四月から始まった住民税非課税世帯及びそれに準ずる世帯の学生を対象とした高等教育の就学支援新制度において、各大学の授業料等減免と日本学生支援機構が行う生活費としての給付型奨学金を合わせた支援が受けられることから、大学への進学を希望する世帯に対し同制度の活用を促しております。 68 ◯立川由美委員 教育の保障については少しずつ前進しているとは思います。しかし、生活保護基準は全体として切り下げられてきたために、一般家庭でも負担の大きい大学等への進学は保護家庭にとっては非常に高いハードルになっていると思います。そして、そのことが貧困の連鎖から抜け出せないことにもつながります。高校進学で世帯分離していた時代もありましたし、学資保険の積立てが認められない時代もありました。今後は大学や専門学校への進学を保障し、自立を促していくことが貧困の連鎖を断ち切る確かな力になると思います。  今、課長から紹介のあった制度を周知していただくことや高校生のアルバイト収入からの進学費用積立ても認められていることなども知らせて、学ぶことを諦めない指導をしていただきたいと思います。各地で行われている食料支援に長蛇の列ができるなど長引くコロナ禍で多くの方が困窮しています。自殺や無謀な行為に及ぶことがないよう行政の支援もお願いいたします。困っている人は生活保護を活用してほしいというメッセージも出して、困窮者に寄り添う支援を行うことを求め、質問を終わります。(拍手) 69 ◯吉松源昭委員長 ほかに質疑はありませんか。岳康宏委員。 70 ◯岳 康宏委員 おはようございます。拓志会の岳康宏です。  スポーツ合宿の誘致について質問させていただきます。  福岡国際マラソンは、日本でマラソンの父と言われた金栗四三の功績をたたえる目的で一九四七年に開催された第一回金栗賞朝日マラソンを起源に、第七十五回大会を二〇二一年、昨年の十二月五日に開催して幕を閉じました。福岡県において、福岡けやき通りレディースロードレースなど実業団の日頃の成果や練習、実践のお披露目ができる機会である歴史ある大会がなくなっていくことを残念で寂しく思っておりましたが、福岡国際マラソンについては、本県と日本陸連、九州朝日放送さんが参画し、体制を新たにスタートすることになったとのことで喜ばしい限りであります。コースもこれまでを踏襲し、SDGsの視点を踏まえた新しい大会として、今年の十二月四日に開催予定とのことで、歴史と伝統、ストーリー性のある大会として再生されることを期待しております。そのような中、福岡県においてはスポーツ立県福岡の実現に向け、福岡県のスポーツをより元気に、スポーツの力で福岡県をより元気にしていくために各種施策を取り組んでいらっしゃいますが、その取組について質問をさせていただきます。  スポーツ立県福岡の取組には、子供のスポーツ機会の充実やアスリートの競技力の向上やスポーツを通じた健康増進など共生社会の実現といった施策もあります。この各種大規模スポーツ大会、強化合宿の誘致開催についても取り組むことになっていますが、まず、この施策の推進体制についてお答えください。 71 ◯吉松源昭委員長 坂田スポーツ企画課長。 72 ◯坂田スポーツ企画課長 本県では、スポーツ立県福岡の実現に向け、スポーツの関連消費を高めるとともに、スポーツによる地域振興を推進するため、令和二年度に福岡県スポーツコミッションを設立しました。スポーツコミッションでは、大規模スポーツ大会の誘致開催、スポーツ合宿の誘致、スポーツツーリズムの推進に取り組んでおり、旅行、観光、広告宣伝、スポーツといった各分野の専門家で構成します運営委員会の下、官民が連携して事業を推進しているところでございます。 73 ◯岳 康宏委員 様々な分野の専門家により事業を推進していらっしゃるということですが、スポーツ合宿誘致についてお尋ねします。  スポーツ合宿誘致がもたらす効果をどのように認識していらっしゃいますか。 74 ◯坂田スポーツ企画課長 スポーツ合宿につきましては、長期の滞在が見込めることから、宿泊代や食事代といった経済効果が期待されます。また、地域の特産品や観光、文化に関する情報の提供などを通じて、その地域が持つ魅力を県内外にPRする効果も期待されます。さらに、トップアスリートの合宿は、その力強さや技のすごさを直接見ることができ、後に続く子供たちに夢や希望を与える機会にもなると考えております。 75 ◯岳 康宏委員 スポーツ合宿がもたらす効果については理解できましたが、次にスポーツチームが合宿地を決定する際のポイントについてお聞かせください。 76 ◯坂田スポーツ企画課長 スポーツチームからは、施設については競技の特性に合った練習環境を準備できるか、宿泊については選手に応じた食事を提供できるか、また、それらのアクセスの利便性が高いかなどの質問があり、これらが合宿を決定するポイントとなっていると考えております。 77 ◯岳 康宏委員 練習環境、食事や宿泊に配慮が必要ということだと思います。  それでは、スポーツチームが合宿地を決定するポイントを踏まえて、これまでどのような活動をなさってきたのかお聞かせください。 78 ◯坂田スポーツ企画課長 競技施設の大きさ、備品などの整備状況やその周辺の宿泊施設の状況を、福岡県スポーツ推進基金のホームページ上に公開し、スポーツ合宿ができる市町村を広く周知しているところでございます。  また、スポーツ合宿の誘致に当たっては、市町村が誘致を希望する競技や時期などを丁寧にヒアリングし、市町村と一体となった誘致を進めているところでございます。 79 ◯岳 康宏委員 ここで、熊本県の水上村の事例を紹介させていただきます。水上村は、宮崎県境の湯山地区のクロスカントリー施設、水上スカイヴィレッジを整備して、平成二十九年五月にオープンしました。アップダウンの激しい全長二キロメートルのコースで全天候型トラックやアイシングプールを備えており、これらを九州学院高等学校陸上部監督の禿雄進監督、トヨタ自動車九州陸上部の森下広一監督が監修なさって、アスリートに寄り添った大変使いやすい施設ということで、多くの実業団、大学、高校等の陸上部が合宿を実施しております。福岡の大牟田高校もよく利用していると伺っております。選手を受け入れる地元の旅館では、管理栄養士が監修した食事を提供するなど、村全体でスポーツ合宿の受入れを支援しております。大変参考になる取組で、個人的には本県の八女の日向神ダムやグリーンピア八女の辺りにこのような施設があればいいなと感じたところですが、最後に、今後スポーツ合宿の誘致を進めるためにどのような取組を行っていくのか、お聞かせください。 80 ◯坂田スポーツ企画課長 委員御指摘のとおり、誘致に当たりましてはハード面の充実だけではなく、食事の提供内容といったソフト面も重要になると考えております。  今年度、筑豊緑地に誘致した複数の大学が参加するテニス合宿では、事前に飯塚市や施設管理者、競技団体と協議を重ねてまいりました。県と飯塚市が所有するテニスコートが合わせて二十二面活用できること、アスリートに即した食事メニューを提供できること、隣接しますホテルを低料金で利用できることなど、学生アスリートが求めるポイントを提案し、誘致が実現したものでございます。今後も競技施設を所有する市町村や民間に対して、スポーツ合宿での施設利用を促すとともに、合宿時の疲労回復に役立つ食事メニューの開発といったノウハウの共有を進め、スポーツ合宿の効果的な誘致に取り組んでまいりたいと考えております。 81 ◯岳 康宏委員 本県がスポーツ合宿について積極的に取り組んでいこうとなさっていることに心強く感じます。  博多の森競技場で毎年五月に開催される福岡国際女子テニス大会は、開幕レセプションに私いつも呼んでいただきまして、国内外の女子プレーヤーと触れ合う機会を頂戴しております。以前、シャラポワ選手や伊達公子選手も参加なさったことがありまして、その折にお話ししたら、コートの硬さで足に負担がかかりやすい大会は選手の皆さんが敬遠しがちであることなど、示唆に富んだアスリートならではの御意見をいただき、改善点の気づきがございました。  また、ランニングチームに私個人的にヒアリングをさせていただきましたけど、一番多い意見は競技場を増やしてほしいというものでしたが、福岡はクロカンコースの練習場がなくて、ウッドチップなどやはり足の負担が少ない練習環境を望んでおられました。コロナの影響で学校の部活ではなくクラブ活動が盛んになりますが、大会や練習場所に場所を借りる際、レンタル料がかなりかかると伺っております。トップアスリートの合宿には、合宿団体に対する補助金制度を創設し、戦略的な誘致活動を取り組んであるということですけれども、車の貸出しにも柔軟に補助をしてあげていただきたいと思います。大規模なスポーツ大会や合宿を誘致できれば、世界に福岡の名前が配信され、福岡の知名度もアップいたします。実際に競技に取り組んでいる方々の意見を踏まえた環境整備は大切だと思っております。今後も競技経験や指導者の方々の御意見をよく聞いて、市町村、施設管理者につなげていただきたいということを要望いたしますとともに、合宿誘致によってコロナ後の地域振興と経済活性化に貢献できるよう期待して、この件についての質問を終わります。 82 ◯吉松源昭委員長 岳康宏委員、引き続きどうぞ。 83 ◯岳 康宏委員 恐れ入ります。ひきこもりなど多様性を認め合う就労支援についてお尋ねをいたします。  ひきこもりなど働きづらさを抱える方々への就労支援について質問いたします。ひきこもりは、若者が抱える課題というイメージを持たれる方も多いと思いますが、最近は、五十代以上の年齢の高い方のひきこもりの問題、八十歳代の親が五十歳代の子供の生活を支えるという、いわゆる八〇五〇問題が課題として様々なところで指摘をされ、社会問題となっております。実際に私の周りにも、年金の支給日になると、僕よりも間違いなく御年齢の高い方が親御さんの年金をあてにしてお金をせびりに来るというようなことがありまして、本当にちょっと切ないなと。実際に周りの御近所の方も知ってるし、だけど、自分のことを、また息子がそうであるということをまた言いたくもないだろうということもあって、このひきこもりの問題というのを把握するのは非常に難しいのかなと率直に思っておるところでございます。  そうした中で、令和四年度予算において、働きづらさを抱える方への就労支援を強化するための多様性を認め合う雇用創出費が盛り込まれております。そこで、この事業スキーム図というものを皆さんお手元に置いていただいて、やり取りを聞いていただいたほうが分かりやすいかなと思いますので、この事業スキーム図に関する資料を要求させていただいていますので、委員長、お取り計らいのほどをよろしくお願いいたします。 84 ◯吉松源昭委員長 お諮りいたします。  ただいま岳委員から要求がありました資料を委員会資料として要求することに御異議ありませんか。      〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕 85 ◯吉松源昭委員長 御異議がありませんので、本委員会の要求資料といたします。  執行部に申し上げます。ただいま岳委員から要求がありました資料については提出できますか。藤野新雇用開発課長。 86 ◯藤野新雇用開発課長 直ちに提出いたします。 87 ◯吉松源昭委員長 資料を正副委員長に確認させてください。      〔資料確認〕 88 ◯吉松源昭委員長 事務局は資料を配付してください。      〔資料配付〕 89 ◯吉松源昭委員長 資料が配付されましたので、岳委員、質疑を行ってください。 90 ◯岳 康宏委員 その予算で実施する取組の概要について、資料に沿って御説明をお願いします。 91 ◯藤野新雇用開発課長 本事業は、お手元の資料右端に掲げておりますように、ひきこもりの方、難病でお悩みの方、刑務所出所者等働きづらさを抱える方々の働く場を創出し、社会からの孤立や貧困等の課題を解決することを目的としています。内容ですが、資料の中ほどにございますように1)就労困難者訓練支援モデル事業、2)超短時間就労モデル事業、この二つのモデル事業を実施する予定です。 92 ◯岳 康宏委員 二つのモデル事業をやっていきたいということですが、まず一点目の就労困難者訓練支援モデル事業について、具体的にどういう方を対象にどのような取組を実施なさるのかをお伺いします。 93 ◯藤野新雇用開発課長 この事業は、ひきこもりの方、難病でお悩みの方、刑務所出所者等働きづらさを抱える方に対して、障害者総合支援法に基づく障がい者就労移行支援等の仕組みを活用し、事業所での作業や企業での実習を行い、適性に合った就職につなげるものであり、社会実証モデルとして実施するものです。福岡、北九州、筑豊、筑後の四地区において、それぞれ月五人程度の支援を予定しております。本事業は、様々な働きづらさを抱える方々の就業を支援している日本財団と共同して取り組むこととしております。 94 ◯岳 康宏委員 障がいのある方を対象とした就労移行支援事業所を活用しようと考えたのはなぜかお尋ねします。 95 ◯藤野新雇用開発課長 ヨーロッパ等では、一般の労働者に一定の割合の様々な働きづらさを抱える方が加わり、共に働く企業体、ソーシャルファームという仕組みが広がり、現在一万社を超えております。  我が国では、障害者手帳を持つ方々に対する特例子会社などの制度はあるものの、その他の働きづらさを抱える方を対象とする仕組みはありません。そのため、まずは障がいのある方の就労に一定の知見を有する就労移行支援事業所の力を借りることで、その他の働きづらさを抱える方に効果的な支援が期待できると考えたものです。 96 ◯岳 康宏委員 次に、二つ目の超短時間就労モデルについて簡単に御説明願います。 97 ◯藤野新雇用開発課長 週二十時間未満の雇用は、障害者雇用促進法に基づく法定雇用率の算定基礎とならないため、多くの企業で進んでいないのが現状です。本事業では、障がいのある方の週二十時間未満の継続雇用を企業において促進するとともに、ひきこもりの方、難病でお悩みの方、刑務所出所者、独り親、高齢者等に対象を拡大して求人開拓、マッチング等を実施したいと考えております。こうした方々の雇用に協力していただける企業が一定数見込まれる大牟田市と飯塚市において、六十人程度モデル的に実施する予定です。 98 ◯岳 康宏委員 このことを最初に伺ったときに安定雇用に結びつけられるようにするための支援のほうが大事な気もしましたけれども、超短時間とあえて銘打ったのはどういう思いや狙いがあってのことなのか、お尋ねいたします。 99 ◯藤野新雇用開発課長 障がい、難病、家族の介護などの理由により、長時間働けなくても短時間であれば働くことができる方は数多くおられます。誰もが安心して活躍するためには多様な働き方の創出を目指す取組が必要です。今回のモデル事業を通して様々な理由で働きづらさを抱える方々が仕事に就くことで、孤独感、孤立感を解消するとともに、自立への第一歩になればと考えております。 100 ◯岳 康宏委員 働きづらさを抱える方にとって、こういう超短時間就労という入り口があれば、そこで就労経験を積んで、その後の安定雇用にもつながる可能性があること、その第一歩を支援するんだということが理解できました。  こちらもモデル事業と銘打っておられますが、令和四年度にモデル的に実施した後はどういう展開をお考えでしょうか。 101 ◯藤野新雇用開発課長 一人でも多くの雇用を創出し、事業での効果的な方法やノウハウ等を他の市町村や都道府県と共有することで、この福岡モデルを全国的な取組へと広げてまいりたいと考えております。加えて、先ほど御説明いたしました週二十時間未満の障がい者雇用の法定雇用率への参入やひきこもりの方、難病でお困りの方、刑務所出所者等が安心して働ける制度の構築などについて、国に対し要望してまいりたいと考えております。 102 ◯岳 康宏委員 事業概要については大体分かってまいりました。このような事業をほかの都道府県で行っている事例はございますか。 103 ◯藤野新雇用開発課長 本課で調べたところによると、就労困難者訓練支援モデル事業は、本県と千葉県が来年度から全国に先駆けて取り組むこととなっております。週二十時間未満の超短時間雇用は、障がいのある方について神戸市、川崎市などで実施した事例はありますが、様々な方まで対象を広げて取り組むのは本県が初めてとなります。 104 ◯岳 康宏委員 本県が初ということなのですね。成果を上げるためにどのような体制でやっていくのかお尋ねいたします。 105 ◯藤野新雇用開発課長 事業の実効性を高めるため、当部のほか、ひきこもりの方、難病でお悩みの方、高齢者等の支援を担う保健医療介護部、犯罪や非行の防止を担う人づくり・県民生活部等で実行委員会を立ち上げ、事業を進めてまいる考えです。  また、超短時間就労を提唱された東京大学の近藤准教授をはじめ、様々な理由で生活に困難を抱える方の就労支援に実績のある団体の代表の有識者により構成される会議を設け、PDCAサイクルの各段階において助言を受けることとし、効果的な施策展開を図ってまいります。 106 ◯岳 康宏委員 それでは最後に、ひきこもりの方も含めて働きづらさを抱える方を今後力強く息長く支援していってほしいと思いますが、局長の御決意をお聞かせください。 107 ◯吉松源昭委員長 中島労働局長。 108 ◯中島労働局長 ひきこもりの方、とりわけ就職氷河期世代でひきこもりを経験された方々はもう既に四十代から五十代に差しかかろうというところになっておりまして、こうした中高年の方が社会から孤立し、経済的に困窮されているという状況は解決すべき重要な課題であると考えております。  県では、課長が答弁申し上げましたとおり、来年度、ひきこもりなど労働市場の中で弱い立場に置かれた方々の雇用の場を創出する社会実証に取り組む考えでございますが、事業を実施する上ではなかなか難しい課題が発生してくることも想定されます。こうした課題、障壁の一つ一つを取り除くため、庁内の関係部局間で緊密に横の連携を図っていくとともに、専門家の御助言をいただきながら前進をさせ、一人でも多くの好事例を生み出して、働いて社会に貢献したい、自立した生活が送りたいという思いがかなうように県として力を注いでまいる考えでございます。 109 ◯岳 康宏委員 大変期待しております。終わります。(拍手) 110 ◯吉松源昭委員長 ほかに質疑はありませんか。吉田浩一委員。 111 ◯吉田浩一委員 おはようございます。自民党県議団の吉田浩一です。  世界遺産「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群は、平成二十九年七月にユネスコ世界文化遺産に登録され、今年で五周年の節目を迎えます。今回は、本遺産群の世界遺産登録の五周年の取組についてお伺いしてまいります。  まず、この五年間における本遺産群の来訪者数の推移について説明をお願いします。 112 ◯吉松源昭委員長 家守九州国立博物館・世界遺産室長。 113 ◯家守九州国立博物館・世界遺産室長 世界遺産「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群における世界遺産登録後の構成資産への来訪者数の推移について御説明をいたします。  世界遺産登録一年目の平成二十九年七月からの一年間の来訪者数は約百十二万人でございました。その後は年々減少し、登録四年目となる令和二年七月から令和三年六月までの一年間の来訪者数は約六十六万三千人となっており、新型コロナウイルス感染症の影響も受けまして、登録一年目と比べ約四〇%の減少となっております。 114 ◯吉田浩一委員 新型コロナウイルス感染症の影響を受けていると思いますが、この来訪者数が殺到した直後より、やはりそこをピークとして年々来訪者数は減少傾向にあると考えます。  それでは、平成二十九年の世界遺産登録以降、本遺産群においてどのような体制でどのような取組を進めてきたのかをお伺いいたします。 115 ◯家守九州国立博物館・世界遺産室長 本遺産群については、県、宗像市、福津市、宗像大社で構成いたします「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群保存活用協議会におきまして、文化財の保存修理や民間事業用地の公有化といった構成資産の保存管理とガイダンス施設の解説機能の充実や来訪促進イベントの開催といった公開活用に関する取組を進めております。 116 ◯吉田浩一委員 世界遺産においては、構成資産の保存と活用の両面から取組を行っているということでございますが、それでは、ガイダンス施設の機能充実や来訪促進などに取り組まれているという世界遺産の活用についてお尋ねいたします。  本遺産群の構成資産の中心である沖ノ島は、一般の人が入島することができません。入島できない沖ノ島をはじめとした本遺産群の価値を伝えるため、具体的にどのような取組を行ってきたのかお伺いいたします。 117 ◯家守九州国立博物館・世界遺産室長 委員御指摘のとおり、沖ノ島は原則として神職以外は上陸することができません。そのため、世界遺産ガイダンス施設海の道むなかた館では、古代祭祀が行われた巨岩群を中心とした神秘的な島内の様子を国内最大級の大型スクリーンで放映しているほか、沖ノ島から出土した奉献品のレプリカを展示し、沖ノ島の価値について分かりやすく解説をしております。  また、本遺産群は海と関連が深いことから、毎年七月の祝日海の日に合わせてイベント等を実施しており、一昨年度の海の日には沖ノ島の近くまで船で近づき、船上から望む沖ノ島遠望船を初運航するなどいたしました。  さらに、様々な角度から遺産群の価値を解説することを目的としまして、昨年度、九州国立博物館、九州歴史資料館と地元にある三つの歴史文化施設と連携し、五館連携展覧会、ムナカタ─祈り・暮らし・交わり─を開催いたしました。 118 ◯吉田浩一委員 世界遺産としての価値の中心にある沖ノ島の特性を考慮しながら、様々な形で世界遺産の価値を伝える活用施策を進めてこられたことは分かりました。構成資産の保存のためにはもちろんのことですが、その価値を伝える活用方策を企画する上でも重要な基盤となるのが世界遺産としての価値を探求する調査研究であろうかと思います。世界遺産登録時にもユネスコから研究を継続拡充させる旨の勧告が出たと記憶しております。また、地元では、世界遺産登録直後から世界遺産の調査研究を担う世界遺産センター建設を要望する声も聞いているところでございます。  そこでお尋ねします。本遺産群の調査研究について、これまでどのような取組を行ってきたのでしょうか。 119 ◯家守九州国立博物館・世界遺産室長 ユネスコからの勧告を受け、保存活用協議会では、平成三十年度から国内外の専門家と協力し、古代東アジアにおける交流、航海、祭祀をテーマとした調査研究を実施しております。これまで、この成果を報告する二回の学術研究報告会及び中国や韓国への現地調査を実施し、この三月には、古代東アジアの海洋信仰をテーマとした三回目となる学術研究報告会を開催する予定としております。また、学術雑誌、沖ノ島研究を平成二十六年度から毎年度発刊するとともに、一般向けの公開講座を開催するなど調査研究成果の発信にも努めております。 120 ◯吉田浩一委員 世界遺産登録後も世界遺産としての価値の探求を継続的に取り組み、その発信にも努めているということで、それでは、今年五周年を迎える令和四年度当初予算において、世界遺産登録五周年事業として二百万円余の予算が計上されておりますが、どのような取組を行っていくのか。その経費について、二市の負担や補助金の活用もお考えなのかお伺いいたします。 121 ◯家守九州国立博物館・世界遺産室長 まず、七月の海の日ですが、行けない沖ノ島を間近で見たいという声も多いことから、JR九州高速船と連携し、クイーンビートルを活用した沖ノ島遠望船特別ツアーを実施する予定でございます。  また、夏休み期間中、子供たちが学び楽しめる体験プログラムや文化施設や道の駅等と連携したスタンプラリーを実施し、多くの県民の方に宗像・福津地域を周遊していただきたいと考えております。  このほかにも様々な取組を進めてまいる予定でございますが、これら保存活用協議会による取組に要する経費の二分の一を県が、残りの二分の一を宗像市・福津市が負担いたします。これに加えまして、文化観光推進に関する補助金など国等からの補助金を最大限活用し取組を実施してまいります。 122 ◯吉田浩一委員 ぜひとも世界遺産登録五周年を追い風として、本遺産群を広くPRしていっていただきたいと思います。  それでは最後に、五周年事業への意気込みと五周年以降も続く世界遺産の保存と活用の取組を通じた地域の振興についての部長の決意をお伺いいたします。 123 ◯吉松源昭委員長 徳永人づくり・県民生活部長。 124 ◯徳永人づくり・県民生活部長 来年度は、「神宿る島」宗像・沖ノ島とその関連遺産群世界遺産登録五周年という節目で、多くの方に注目していただけるチャンスの年でございます。この機を捉えまして、宗像市、福津市、宗像大社ともしっかり連携しながら、一連の五周年事業に取り組み、本遺産群をPRしてまいります。この周年事業の中におきましては、静岡県富士山世界遺産センターや島根県立古代出雲歴史博物館といった県外六つの歴史文化施設と連携したプロモーションなど、県外からも多くの方々に訪れていただけるようなポストコロナを見据えた取組も進めてまいります。  そして、五周年以降につきましても、引き続き委員から御指摘いただきました調査研究を進め、構成資産の保存と本遺産群の活用に取り組みますとともに、本県にございますもう一つの世界遺産明治日本の産業革命遺産とともに連携しまして、地域振興、地域活性化を図ってまいります。 125 ◯吉田浩一委員 ありがとうございました。しっかり取り組んでいただけるようお願いして、質問を終わります。(拍手) 126 ◯吉松源昭委員長 ほかに質疑はありませんか。新井富美子委員。 127 ◯新井富美子委員 民主県政クラブ県議団の新井富美子でございます。この款では二つの項目について質問をさせていただきます。  まず最初に、コロナで影響を受けた女性への支援について質問をいたします。冒頭に、新型コロナ感染症拡大が私たちの生活に大きな影響を及ぼし始めて二年以上がたちました。この拡大の初期においては、国連事務総長が二〇二〇年四月に、このパンデミックは女性と女児に壊滅的な影響を与えており、特に女性が雇用面、生活面での強い影響により、今後、経済の格差を中心に様々な格差に直面するということを懸念。女性と女児をコロナの対策の中心に据えることが重要だという旨のメッセージを出しました。我が国におきましては、昨年四月に内閣府が、コロナ禍の女性への影響と課題に関する研究会報告書を発表し、それによりますと、男女では受けた影響が異なる。女性の非正規労働者の減少や──減少といいますのは、これは雇用の機会を失ったということですね。自殺数、これは増加傾向。そして、女性へのこれらの深刻な影響が明らかになり、そして、その根底の問題として、平時におけるジェンダー平等、男女共同参画が進んでいなかった。そのことが顕在化したと述べております。さらに、今こそ幅広い政策分野でジェンダーの視点を取り入れた政策の立案が不可欠である。女性に焦点を当てて課題を明らかにし、既存の制度や慣行を見直すべきであると述べています。これは、もちろん福岡県にもそのまま当てはまることだと思います。  今議会の我が会派の代表質問では、知事は、ジェンダー平等を反映したものとして新年度予算について説明をされました。今回、特にコロナ禍で影響を受けた女性の支援についてお尋ねをしたいと思います。
     まず一問目に、コロナ禍で経済的困窮や社会からの孤立孤独により不安を抱える女性に対して支援する女性と社会のつながり支援事業を今年度から実施されております。これまでどのような取組を行ってきたのかお尋ねいたします。 128 ◯吉松源昭委員長 柳瀬男女共同参画推進課長。 129 ◯柳瀬男女共同参画推進課長 女性と社会のつながり支援事業は、本年度七月から、民間団体の知識や経験を活用し、街頭や子供食堂での声かけ、相談対応や電話・メール相談などを実施しております。これまでに約千四百名の女性に声かけをし、相談窓口の情報を掲載したチラシやカードを配布いたしました。  また、支援が必要な女性に情報が届くよう、県の子育て女性就職支援センターやひとり親サポートセンターなどの女性支援を行う機関、また子供食堂運営団体などに御協力をいただき、相談窓口の情報を掲載したチラシやカードを配布し、相談窓口の周知を行っているところでございます。電話・メールなどでお受けいたしました相談につきまして、必要に応じて専門機関へのつなぎや生活保護申請の同行支援などを行っているところでございます。 130 ◯新井富美子委員 ありがとうございます。支援が必要な人にこそ支援が届きにくいという現状でしっかりと取り組んでいただいているようで、ありがとうございます。よろしくお願いいたします。  次に、コロナ禍で様々な影響を受けた女性に寄り添い、効果的な支援を行うために、県庁内の関係部局や関係機関・団体との連携が大変重要になってくると考えます。どのように取り組んでいかれるのか、お尋ねいたします。 131 ◯柳瀬男女共同参画推進課長 より多くの女性にきめ細かな支援が届くよう独り親家庭への支援を行っている児童家庭課や子育て世代の女性への就職支援を行っています新雇用開発課などの関係課、さらに子供食堂、独り親支援、女性支援に取り組む団体が一堂に会し、それぞれの取組の共有、よりよい支援の在り方など意見交換を行い、連携を図っているところでございます。今後も、困難な状況にある女性への支援に当たっては、関係課、団体が相互に情報やノウハウを共有し、連携を深め、充実した支援につなげてまいります。 132 ◯新井富美子委員 関係各所と連携、しっかりお願いいたします。  最後に要望ですけれども、もちろんこの問題は援助、支援につなげていくことは本当に大切なことです。しかし、大きな背景としては女性が援助を必要とせざるを得ないような状況に追い込まれているという状況が問題であり、これを解決することが本質の課題であるということを大きな目標としてしっかり取り組んでいただきたいと思います。その上で、関係各所と連携した取組を行っていくということに、さらに各基礎自治体との連携も併せて、県庁内の各部局が連携していただいてしっかり取り組んでいただくこと。そして、この場には福祉労働部も出席しておられますので、さらに連携を強化していただきますことを強く要望しまして、質問を終わります。ありがとうございました。 133 ◯吉松源昭委員長 新井委員、引き続きどうぞ。 134 ◯新井富美子委員 続きまして、部落差別の解消の推進に関する取組について質問いたします。  今年は水平社宣言から百年の年でございます。しかし、形を変え、場所を変え、部落差別は依然として解消されておりません。これを機に以下質問をいたします。これまで同和行政の成果をどう捉えていらっしゃるのでしょうか。 135 ◯吉松源昭委員長 植田調整課長。 136 ◯植田調整課長 昭和四十四年から三度にわたり特別対策法が制定され、県独自の経過措置に加え、平成十九年三月までの三十八年間にわたり国庫補助事業や県単独事業等による所要の施策を推進してまいりました。その結果、道路、住宅、下水排水路、集会所、墓地など生活環境等の改善について着実な成果が見られたところでございます。また、特別対策でつくられた奨学金制度は、同和地区の生徒の高校進学率の向上につながりました。この制度は、対象を低所得世帯の全高校生に広げて、一般対策として現在も広く活用されております。 137 ◯新井富美子委員 ありがとうございます。  次に、部落差別の現状についてはどのように認識していらっしゃるのでしょうか。 138 ◯植田調整課長 昨年度に国が公表した部落差別の実態に係る調査結果によれば、インターネット上の事件は増加傾向にあり、実社会における事件では結婚、交際に関する差別、差別落書き等の表現行為、特定個人に対する誹謗中傷は依然として発生しております。本県においても、インターネット上の部落差別書き込みを数多く確認しています。また、毎年、実社会での差別落書きや差別発言などの差別事案が発生しております。部落差別は、日本国憲法によって保障された基本的人権に関わる課題であり、深刻にして重大な社会問題であります。 139 ◯新井富美子委員 重大な社会問題でありますが、依然として現存しているということをお答えいただきました。  次に、現在のインターネット上の部落差別の氾濫は、当事者の方々、そしてまた部落差別の解消に取り組む多くの人々の努力と、そして行政のこれまでの取組を根底から覆すものであると考えます。現在、ヤフーにおいてAIを活用して悪意のある投稿を自動削除するなど、民間でも動きが出ておりますけれども、インターネット上の部落差別の書き込みは減ってきているのでしょうか。 140 ◯植田調整課長 当課における県内のインターネット上の部落差別書き込みの確認件数について、昨年度は七月から翌年三月までの九か月間で千二百三十七件、今年度は四月から今年二月までの十一か月間で千三百四十六件であり、確認した範囲においては部落差別書き込みは減っておりません。 141 ◯新井富美子委員 大変残念な状況でございます。昨年の予算特別委員会で、我が会派の中嶋議員がインターネット上の部落差別について質問をしました。その質問に対しての答弁は、インターネット上の部落差別に関する書き込みの確認や削除要請を行っている。インターネット上の動画については、法務局からも削除要請を行うよう依頼しているというものでした。今年度においてはどのように取り組んできたのかお答えください。 142 ◯植田調整課長 昨年と同様に部落差別書き込みを確認した場合、サイト管理者への削除要請を行っております。新たな取組として、部落差別書き込みがされていたサイトに、部落差別は許されないものであり、部落差別につながる書き込みは絶対しないように呼びかける内容の啓発文を投稿しております。  また、副知事をトップに部長等で構成するインターネット上の部落差別書き込み等対策会議を昨年十一月に設置し、全庁的な体制で対応しております。この会議では、インターネット上の部落差別だけでなく、実社会における差別落書きや差別発言などの差別事案についても対応することとしております。 143 ◯新井富美子委員 ありがとうございます。書き込みに対して啓発文を投稿しているという新たな取組に評価をしたいと思います。  次に、県だけで取り組むのではなく市町村との連携も大変重要であると考えます。インターネット上の部落差別について、市町村とは具体的にどのように連携しているのでしょうか。 144 ◯植田調整課長 インターネット上の部落差別に関しては、県の削除要請に加え、関係する市町村も削除要請を行うことがサイト管理者に対しより効果的であると考えております。毎年、市町村の人権啓発担当課長を集めた会議の中で、インターネット上の部落差別書き込みに対する県の取組を説明し、県から積極的に市町村を支援することを伝えております。その結果、県と同様の取組を行っている市町村は、昨年度の五市町村から今年度は十九市町村に増加しております。これらの十九市町村とはそれぞれの取組方法や課題などについて情報交換を行うとともに、部落差別書き込みの情報共有を継続して行ってまいります。 145 ◯新井富美子委員 五市町村から今年は十九市町村ということで、必要があるのでもう少しつながりを深めていってほしいと思います。  次は、部落差別を解消するためにはもちろん県民の皆さんへの啓発も大切だと考えております。啓発についてはどのような取組を行っているのでしょうか。 146 ◯植田調整課長 県では、県民講座の開催、啓発ラジオ番組の放送、各戸配布の県広報紙福岡県だよりや県のテレビ番組などの広報媒体を活用し、啓発に努めているところです。また、本県では、毎年七月を同和問題啓発強調月間と定めており、幹部職員による街頭啓発、人権啓発情報センターにおける講演会や特別展、県庁ロビー展、県の庁舎における懸垂幕の掲示、主要四紙への新聞広告の掲載を実施しております。昨年はこれに加え、啓発ポスターをJRや西鉄の駅に掲示するとともに、結婚差別に関する動画をテレビスポットCMとして放映し、引き続きユーチューブ等を使って放映しております。 147 ◯新井富美子委員 七問目でございます。県職員は、県民啓発の担い手であります。全ての県職員の方々が人権尊重の意識をしっかり持ち、きめ細やかな人権感覚と実践力を身につけなければならないと考えております。県職員の方々に対する研修はどのように行っているんでしょうかお答えください。 148 ◯植田調整課長 委員御指摘のとおり、県職員は、それぞれが担当する業務において県民啓発の役割を担っていることから、新規採用時から昇任時に実施する階層別研修において同和問題研修を行っております。また、毎年、同和問題をはじめとする人権問題をテーマに課長級以上の職員を対象とする幹部職員研修、各所属の副課長や課長補佐等を対象とする人権・同和問題啓発推進員研修、全ての所属で実施する職場研修を実施しております。 149 ◯新井富美子委員 ありがとうございます。部落差別を受けた方々の生の声を聞くことも、そういった研修において大切であると思っております。県の職員の方々に対する研修でどのような工夫を行っておられるのでしょうか。 150 ◯植田調整課長 昨年の秋に実施しました幹部職員研修では、部落差別の当事者を講師として招き、講演していただきました。実際の被差別体験を交えながらの講演でアンケートの評価も高く、受講した幹部職員が何人も事務局職員の下へ足を運び、感想を寄せるほどでした。改めて、直接当事者から差別の実態を学ぶことが人の心に響く研修となることを我々も痛感したところでございます。今後も当事者から差別の実態を学ぶ形の研修を取り入れ、県職員一人一人が自分ごととして同和問題を捉え、差別の実態を肌感覚で学ぶことができるよう工夫を凝らしてまいりたいと考えております。 151 ◯新井富美子委員 ありがとうございます。御答弁の中で、差別の実態を肌感覚で学ぶ、決して当事者を取り残さない取組、しっかりとよろしくお願い申し上げます。ただ、ここで研修がたくさんある。しっかり研修をしていただいている。しかしこれが知識だけに終わらず行動に移さないと、やはりしっかりとした活動には結びついていかないと考えております。理解したもの、体得したものを行動に移してこそ、差別解消に向かっての実際の力強い動きになってまいります。  いろいろなところでお話を伺ったんですが、差別発言や差別行動を目の当たりにしたときに、心の中では、研修等で、あ、これはいかんと、何か言わなくちゃいけないと思ってもどういうふうに言ったらいいか分からない、あるいは声を上げるのに大変勇気が要ると、そういったことで声を上げないでいた、行動しないで終わってしまったという、そういうお声もたくさん聞いたことがあります。残念ながら、黙っていては差別しているのと同じということになる。あるいは差別には中立というものはありませんから、やはり声を上げてこそ、そういった差別に対して行動するということになるわけですね。ですから、ぜひ行動に移すためのトレーニングですね。決して、声を上げていくということは断罪が目的ではなくて理解をしてもらうということですから、そういった事象に出会ったときに、いかに効果的な発言をスムーズにできるかといった実践的なトレーニングをぜひ実施していただいて、今行っておられる研修等が知識だけで終わることがないように、しっかりと取り組んでいただきたいと御要望いたします。  では最後に、福岡県において差別のない、人権が真に尊重される心豊かな社会を実現するため、今後どのように取り組んでいくのか部落差別の解消に向けた局長の決意を伺います。 152 ◯吉松源昭委員長 田渕人権・同和対策局長。 153 ◯田渕人権・同和対策局長 人の世に熱あれ、人間に光あれ。委員のお話にもございましたが、日本で最初の人権宣言と言われる水平社宣言から百年になります。差別のない社会を実現するためには、県民一人一人の理解を深めることが不可欠です。このため、部落差別解消推進法や県条例を広く県民にお知らせし、部落差別に関する正しい知識を啓発することで、県民の差別意識の解消や人権意識を高めることに努めてまいります。二〇一九年、平成三十一年三月に全国に先駆けて施行した本県の条例では、県が実施する施策として相談体制の充実、教育啓発、そして部落差別の実態に係る調査を定めており、これらの施策の推進に努めてまいります。また、あらゆる差別をなくすためには、人権侵害を受けた被害者を救済するための制度の確立、これが重要と考えております。このため、県といたしましては、実効性のある人権救済制度が確立されるよう全国知事会要望など様々な機会を捉え、引き続き国に対し要望してまいります。今後も部落差別のない社会の実現に向け、しっかり取り組んでまいります。 154 ◯新井富美子委員 力強い決意をいただきました。ありがとうございます。引き続き、不断の取組をしっかりと行っていただきますよう心よりお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手) 155 ◯吉松源昭委員長 この際しばらく休憩します。再開は午後一時四十五分をめどに放送をもってお知らせします。    午 後 零 時 四 十 五 分 休 憩    午 後 一 時 四 十 五 分 再 開 156 ◯渡辺美穂副委員長 ただいまから委員会を再開します。  休憩前に引き続き議事を進めます。  第五款生活労働費について、ほかに質疑はありませんか。花田尚彦委員。 157 ◯花田尚彦委員 自民党県議団の花田尚彦でございます。  通告に従いまして、リカレント教育について質問いたします。  リカレント教育とは、社会に出た後でも必要なタイミングで教育機関や社会人向け講座等に戻り、学び直すことを指します。学び直しと単に捉えますと、単発の公開講座なども含まれてしまいますので、今回は、大学や大学院、専門学校、あるいは職業能力開発校などに属し一定のカリキュラムの下で定期的に受講するプログラムをリカレント教育として述べてまいります。  さて、昨今、人生百年時代と言われるようになりまして、働き方や、また人生観も従来の日本人独特のものから変化が次第に現れ始め、加えて多様性の尊重が求められることで、より自由な選択ができるようになることが期待されています。その一方で、少子高齢化に伴う労働力の減少や、また、技術革新により雇用者側はより高度な人材を取り合う構図となり、限られた価値観やスキルのままでは社会についていけないという心配を持つ人が増えてきたことも事実であります。そのような状況から、転職や定年により次の人生をどう生きていけばよいかという不安を抱える方も少なくないはずであります。したがって、今後、リカレント教育の重要性はより問われてくると考えます。  そこで質問であります。初めに、リカレント教育について県の認識とこれまでの取組についてお聞かせください。 158 ◯渡辺美穂副委員長 本田社会活動推進課長。 159 ◯本田社会活動推進課長 リカレント教育は、情報通信などの技術革新や少子高齢化が進む中、新たなニーズに対応した技術や能力を身につける人材を育成し、幾つになっても活躍できる社会をつくっていく上で重要であると考えております。県といたしましては、昨年三月にリカレント教育をはじめ、多様な生涯学習情報を一元的に提供するサイト、ふくおか生涯学習ひろばをリニューアル化しまして、県内の各大学で行われているリカレント教育の情報を集約し、県民の方に提供しているところでございます。 160 ◯花田尚彦委員 県としても重要であると認識されているということですね。私も、ふくおか生涯学習ひろばを閲覧させていただきましたが、リカレント教育のページもしっかりと作成されておりまして、県内大学別での検索もしやすいと感じました。  では、県内大学におけるリカレント教育の全体状況、講座数等についてお聞かせください。 161 ◯本田社会活動推進課長 県内の大学におけるリカレント教育講座の開設状況でございますが、本県で把握しております文部科学省の認定等を受けている講座について申し上げますと、二月現在で職業実践力育成プログラムの認定を受けているものが六大学十二講座ございます。また、就職・転職支援のための大学リカレント教育推進事業の採択を受けているものが三大学三講座ございます。 162 ◯花田尚彦委員 私も、実はこのリカレント教育を受講したばかりでありまして、二〇二〇年春からこの二年間、九州大学大学院のビジネススクールで受講し、今月何とか修了することができました。実際に体験してみて、新たな知識の習得はもちろんのことでありますが、様々な職業や年齢、あるいは国籍の方々との交流は自身の将来の選択肢を幅広くする有意義なものとなりましたが、職場や家族の理解と協力があったからこそ終えることができました。逆に、それがなければ途中でリタイアしていたと思います。  令和二年度の能力開発基本調査を見ましても、自己啓発を行う上での問題点としましては、仕事や家事、育児の忙しさ、費用、そして社内での理解などといった面が上位に挙がってきています。こうしたことからか、リカレント教育の重要性が指摘される一方で、なかなか受講者が増えないという現状がありますが、その障壁となっている課題をどのように捉えておられるのかお聞かせください。 163 ◯本田社会活動推進課長 国やシンクタンクが行っております調査結果などから、リカレント教育を進める上での課題について申し上げますと、時間の確保や費用負担、就職や資格取得などに役立つ社会人向けプログラムの拡充、土日祝日や夜間における授業の拡充、あるいは学びに関する情報を得る機会の拡充などが挙げられております。 164 ◯花田尚彦委員 このコロナ禍で働き方や生活様式が変わり、今後の就業においても業界不振であったり、また個人の成長の必要性を感じ取られた方も多くいらっしゃると思います。リカレント教育における課題としましては、主に教育機関側と職場や受講希望者側に分かれると思いますけれども、教育機関側に求められる課題としましては、今お答えいただいた内容のほか、根本的な周知の促進でありましたり、オンライン化や余剰時間の使い方など、ニーズに寄り添ったカリキュラムや受講環境の整備を進める必要があると考えます。そして、職場や受講希望者側における課題としましては、人材育成の重要性は理解されていても一定の費用や、また時間等を割くことが必要となることと、内心としては社員のスキルや選択肢が増えることで転職されるのではないかという懸念も発生するでしょう。そうした中では、リカレント教育を推奨する企業側に対しても何かしらのインセンティブが必要となってくると思います。そうしたことも踏まえまして、多くの人がリカレント教育、学び直しにチャレンジできる環境づくりが必要であると考えますがいかがでしょうか、見解をお聞かせください。 165 ◯本田社会活動推進課長 社会活動推進課としましては、冒頭申し上げました専用サイトを活用しながら、今後は実際に受講した方の体験談やその後の生かし方などのモデルケースを掲載しまして、リカレント教育の機運が高まるよう、より充実した情報提供を行ってまいります。また、今後、様々な分野で取り組んでまいります産業人材などの育成において、先ほど申し上げましたような課題を庁内担当部局やその関係者間で共有するとともに、昨年末に国が設置されました教育未来創造会議におけるリカレント教育の推進に向けた議論の動向を踏まえ、多くの社会人の方が主体的に学びができる環境整備について検討してまいります。 166 ◯花田尚彦委員 御答弁ありがとうございます。今おっしゃったように、このリカレント教育につきましては、福岡県庁内の中で見ましても様々な部局に関係するところがあります。また、今回の予算では農林所管でもありますけれども、リカレント教育の実施が取り上げられています。そうしたことから、部局間での情報共有や、また連携がより重要となってくると考えますので、ぜひお取り組み願いたいと思います。  今、リカレント教育と聞くと、まだキャリア志向の高い人が受ける一部のものという認識の方が多いのがほとんどだと思いますが、今後はより多くの方が手軽に学び直しを行っていける環境づくりを期待したいと思います。  さて、ここまでは教育機関や企業といった立場の視点から考察をしてまいりましたが、これらを現実的な施策として考えますと、年代別での取組が重要となってきます。先ほどの基本調査を見ましても、二十代、三十代は受講意識が高く、年代が上がるにつれて受講意識が低くなっていくようであります。しかし、直近の人口の構図でありましたり、労働力確保を考えますと、中高年の方々へのアプローチが必要なのは分かります。そのため、県としましては七十歳現役応援センターによる支援が行われてきたのだと思われますが、今回の予算では、生涯現役チャレンジセンターに名称が変更されるとのことであります。  まず、これまでの七十歳現役応援センターの設置目的と、またその成果はどうであったのかをお聞かせください。 167 ◯渡辺美穂副委員長 藤野新雇用開発課長。 168 ◯藤野新雇用開発課長 少子高齢化の進行により今後の労働力人口の減少が見込まれる中、持続的な経済発展を図っていくため、年齢に関わりなく働く意欲がある誰もが活躍できる社会をつくっていくとの考えの下、平成二十四年にその推進拠点として、七十歳現役応援センターを設置いたしました。七十歳現役応援センターの実績については、開設からこれまで約十六万案件の相談を受け、約二万二千人の方が登録しています。うち、約一万三千人の方がセンターの支援により就職やボランティア活動など進路が決定し、企業や地域で御活躍されております。 169 ◯花田尚彦委員 では続いて、このたび生涯現役チャレンジセンターに変更される意義や背景、またどういった点が変わるのかを具体的にお聞かせください。 170 ◯藤野新雇用開発課長 七十歳現役応援センターの設立以来十年を迎えました。高年齢者雇用安定法が改正され、七十歳までの就業機会確保措置が事業主の努力義務とされるなど、七十歳現役社会の考え方は社会全体に共有されるところとなりました。これを機に全ての高齢者を広く支援していくため、生涯現役チャレンジセンターに名称変更することとしました。  また、これに伴い、五十歳代の在職中から、今後のキャリアや自らの職業能力を考え、スムーズに次のキャリアに移行していただくためのキャリアプラン相談窓口を設置することで、その促進を図ってまいることとしております。 171 ◯花田尚彦委員 おっしゃったように法改正で七十歳までの就業機会確保が努力義務とされたことで、七十歳になる前での早期の取組が必要となったわけでありますね。しかし、先ほど申し上げたように五十代前後はリカレント教育に関心が低い。窓口をつくってもキャッチアップしてつなげるまでが重要であります。そこで、具体的にどのような支援を行っていくのかお聞かせください。 172 ◯藤野新雇用開発課長 相談窓口では、相談者の職務経歴などを踏まえ、今後のキャリアプランの作成や必要と考えられる資格取得などの技能向上に関する助言を行います。その際には、教育機関や学習に要する費用、助成金などの情報を提供し、支援につなげてまいります。 173 ◯花田尚彦委員 リカレント教育に直接結びつく支援策は、国の政策には多くありましても自治体レベルでそろっているというところは少ないようであります。その中で、こうした取組を進めていくことは大変意義があると思いますので、国や自治体とも連携しながらリカレント教育推進の道筋をつける必要があると思います。こうしたことを踏まえまして、キャリアプラン相談窓口について引き続き取り組んでいただきたいと思いますが、最後に労働局長の決意をお伺いします。 174 ◯渡辺美穂副委員長 中島労働局長。 175 ◯中島労働局長 人生百年時代を迎える中、高年齢者雇用安定法が改正され七十歳までの雇用等が努力義務となるなど、人々の職業人生は長く広がりを見せるようになってまいりました。高齢者がこれまで培った経験と能力、価値観などの土台の上に新たに知識や技能を習得していくことは本人の人生をより豊かにするとともに、より実り多い社会の実現につながるものと考えております。そういう意味では、新たに生涯現役チャレンジセンターに設置いたしますキャリアプラン相談窓口が果たす役割は大きいと考えておりまして、県としては働きたい、社会のお役に立ちたいという意欲のある高齢者お一人お一人の状況を踏まえ、寄り添いながら丁寧に支援してまいります。 176 ◯花田尚彦委員 ありがとうございました。本日は時間がありませんでしたが、出産や育児、介護等で一度社会から離れ、再度社会に復帰する女性は特に支援していく必要があります。関係するテーマ論文など見ましても、カウンセリングを含めたフォロー体制や費用の面、あるいは学歴といった自己条件などが課題としてあるようですので、より細やかな支援を考えていかなければいけません。こうした点も今後の検討課題として考えていただきますことを要望しまして、質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) 177 ◯渡辺美穂副委員長 ほかに質疑はありませんか。渡辺勝将委員。 178 ◯渡辺勝将委員 自民党県議団の渡辺勝将です。  通告に従い、病児保育事業について質問をいたします。  子供が病気で保育所の利用ができないときに一時的に子供を預けることができる病児保育は、共働き家庭や独り親家庭にとっては重要なサービスであり、共働き家庭が増加する中でニーズが高まっております。そのような中、新年度予算で病児保育の利用支援システムの導入経費が計上をされております。病児保育を利用する上で困ることの一つが、ほとんどの施設で空き状況の確認や予約が電話でしかできないことです。子供は夜中でも急に発熱します。連絡は施設の開業時間にしかできず、しかも、出勤前の時間帯に集中するためにつながりにくいといった声を多く伺います。  今回のシステム導入が利用者にとって利便性の向上につながることを期待しているところでもございます。一方、私の住んでいる那珂川市では、現在、市民が利用できる病児保育施設は一つしかございません。病児保育は、市町村が実施主体の事業ではございますが、県がシステムを導入して利便性が向上しても、現在、病児保育施設の設置状況で地域の子育て家庭のニーズに十分に応えることができるかという疑問もございます。  そこで、今回は県として病児保育をどのように進めていこうとしているのかお尋ねいたします。まず、病児保育の県内市町村の実施状況を伺います。 179 ◯渡辺美穂副委員長 浦田子育て支援課長。 180 ◯浦田子育て支援課長 令和三年四月一日現在、県内で子ども・子育て支援法に基づく病児保育事業を実施している市町村は五十一、利用できる病児保育施設数は八十一となっております。このうち施設が市町村の域内にある市町村数は三十六、域内に施設はないが周辺市町村と利用協定を締結することで病児保育を実施している市町村は十五となっております。一方で、市町村内に病児保育の施設がなく周辺市町村と利用協定も締結していないため、住民が病児保育を利用できないのは九つの町村となっております。 181 ◯渡辺勝将委員 病児保育を実施していない九町村はもちろんでございますが、施設はないが他市町村との広域協定で病児保育を実施している十五市町村も含めて、病児保育の施設が設置できていない市町村が二十四あるのはなぜかお尋ねをいたします。 182 ◯浦田子育て支援課長 病児保育は、主に病院やクリニックなどの医療機関で実施されています。実施に当たりましては、専用の部屋の確保と原則として常駐の看護師及び保育士の配置が求められることなどから、年間を通じて固定経費が必要となります。一方で、病児保育施設の主な収入である国、県、市町村が負担する補助金につきましては、利用者数の実績に応じて補助額が増減する仕組みとなっております。病児保育は、利用予約の急なキャンセルも多く、予約がいっぱいであっても実際の利用は八割程度という国の調査結果もあります。このため、ある程度の利用者数が見込めないと安定した運営財源が確保できないという経営面の不安から、特に人口規模の小さな市町村などにおいては利用児童が少ないため、単独での施設設置は難しいのが現状です。 183 ◯渡辺勝将委員 確かに小規模な市町村では、施設の安定的な運営に必要な利用者数の確保は難しいのかもしれません。しかし、病児保育の充実拡大は求められております。病児保育事業は市町村事業でありますが、県は県内の子育て支援の充実を主導する役割があります。県として、この病児保育の充実拡大に向けどのような取組をしてきたのでしょうかお尋ねいたします。 184 ◯浦田子育て支援課長 県では、市町村や医療機関などで構成する病児保育対策の協議会を立ち上げ、病児保育を実施していない市町村の解消と、実施市町村においても利用できる施設を増加させるために、居住市町村以外の施設を利用できるよう病児保育の利用協定の締結による広域化を市町村に働きかけてまいりました。 185 ◯渡辺勝将委員 単独市町村での病児保育施設の設置が難しい状況で、広域化を進めることは一つの解決策になるということは分かります。では、これまでの協議で何か成果はあったのかお尋ねいたします。 186 ◯浦田子育て支援課長 県では、今年度は特に病児保育を実施していない九つの町村の解消を進めることを目的に利用協定の締結を働きかけてまいりました。その結果、現在、九つの町村全てで来年度からの実施に向けて協定締結の準備を進めていただいているところです。 187 ◯渡辺勝将委員 実施していない町村の解決が進んだことは評価をいたします。しかし、実施している市町村間での広域化についてはなかなか進んでいないようであります。私の地元那珂川市でも、近隣市とのこのような協定は締結をしておりません。病児保育は、基本的には居住している市町村にある施設の利用が一般的ではありますが、私の地元那珂川市でもそうですが、住んでいる市町村内に通勤する人よりも近隣の市町村まで通勤している人が多く、通勤途中や通勤先の市町村でも病児保育施設が使えれば保護者にとっては非常に助かると思います。そのためには、先ほど説明があったように近隣市町村と利用協定を結び広域化を進めるということでしょうが、これが進まないということは広域化について何か課題があるということなのでしょうか。市町村や施設がどのように考えているのか、県として把握していれば教えてください。 188 ◯浦田子育て支援課長 県で今年度、市町村及び病児保育施設に対しそれぞれ広域化に向けた意向調査を実施したところ、病児保育施設の約七割は広域化に賛成の意向を示しています。一方で市町村は広域化に賛成したのは全体の三分の一の二十市町村で、残りのほとんどの市町村が他の市町村の意向を確認したいという回答でした。市町村からは広域化を進める課題として、自市町村住民が病児保育を利用できる枠が少なくなることや、市町村間での負担金の精算事務が新たに発生することへの懸念が挙げられております。こうしたことから、広域化に積極的な賛成までは至っていない市町村もあると考えております。 189 ◯渡辺勝将委員 そういった市町村の意見がある中で、今回、県として病児保育利用支援システムを導入するわけですが、その狙いは何かお尋ねいたします。 190 ◯浦田子育て支援課長 今回のシステムは、子育て家庭の皆様がお住まいの市町村において利用可能な施設の空き状況をウェブ上で確認でき、二十四時間いつでも利用申込みやキャンセルが可能となります。このため、施設にとってはキャンセル後の別の予約が入れやすく稼働率が上がることが期待されます。また、これまでの予約等の電話対応の負担軽減にもなります。利便性が上がることでの利用者の増加と施設の稼働率の改善により、病児保育事業の運営の安定化が見込まれれば、新たに病児保育を実施する施設の増加も期待でき、自市町村住民の利用枠が少なくなるという市町村の懸念の解消にもつながると考えています。また、システム導入により利用者実績がデータ化されることで、広域化で必要となる市町村間の精算事務の負担軽減も見込んでいます。県としては市町村に対し、こうした利点を説明し、病児保育のさらなる広域化を働きかけていきたいと考えています。 191 ◯渡辺勝将委員 まずは、利用者にも施設にも使い勝手がよいシステムをつくり利用を進めることと、併せて、市町村にシステム導入による利点をしっかりと説明してほしいと思います。  最後に、病児保育の広域化に向けた部長の決意をお伺いいたします。 192 ◯渡辺美穂副委員長 後藤福祉労働部長。 193 ◯後藤福祉労働部長 共働き世帯や独り親世帯の方々が安心して子育てを行っていただくためには、この病児保育というのは重要なセーフティネットになると考えております。どの市町村に住んでおられても必要なときに病児保育を利用できるようにすることは、子供を安心して育てることができる地域社会づくり、こうした実現に向け不可欠な取組であると認識をしております。県としましては、使い勝手がよい病児保育支援システムとなりますよう各施設等の意見も伺いながらシステムを構築し、全ての市町村、また施設で利用していただけるよう本事業の利点を丁寧に説明していきたいと考えております。これによりまして、病児保育の充実と広域化に向けて着実に取組を進め、子育て世代の皆様方にとって病児保育がさらに利用しやすいものとなるよう環境整備を進めてまいりたいと考えております。 194 ◯渡辺勝将委員 終わります。(拍手) 195 ◯渡辺美穂副委員長 ほかに質疑はありませんか。高橋義彦委員。 196 ◯高橋義彦委員 自民党県議団の高橋でございます。
     本日、私からは手話通訳者の確保について御質問いたします。  知事が記者会見をされる際、手話通訳者が横に立たれて通訳をされる光景が当たり前のようになってきました。また、行政機関の窓口での手続や医療機関を受診する際にも手話通訳者を派遣してもらえるようになりました。全国的にも昨年七月、聴覚障がいのある方の電話利用の円滑化を図る電話リレーサービスが公共インフラとして整備されました。手話と音声で双方に通訳するオペレーターとして手話通訳者が重要な役割を担っています。このように手話通訳者が活躍する場が広がっていることは大変喜ばしい限りですが、その一方で、これら手話通訳に従事する方の確保が喫緊の課題となっています。  そこで、委員長、執行部に手話従事者の種別及び県の手話通訳者登録に関する資料を要求しておりますので、お取り計らいのほどよろしくお願いいたします。 197 ◯渡辺美穂副委員長 お諮りいたします。  ただいま高橋義彦委員から要求がありました資料を委員会資料として要求することに御異議ありませんか。      〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕 198 ◯渡辺美穂副委員長 御異議がありませんので、本委員会の要求資料といたします。  執行部に申し上げます。ただいま高橋義彦委員から要求がありました資料については提出できますか。宮崎障がい福祉課長。 199 ◯宮崎障がい福祉課長 直ちに提出いたします。 200 ◯渡辺美穂副委員長 資料を正副委員長に確認させてください。      〔資料確認〕 201 ◯渡辺美穂副委員長 事務局は資料を配付してください。      〔資料配付〕 202 ◯渡辺美穂副委員長 資料が配付されましたので、高橋義彦委員、質疑を行ってください。 203 ◯高橋義彦委員 それでは、資料の御説明をお願いいたします。 204 ◯宮崎障がい福祉課長 資料は手話従事者の種別、県の手話通訳者の登録数及び登録試験の合格率を示したものです。一の図に示すとおり、手話に従事する方には厚生労働省認定資格である手話通訳士、県の登録試験に合格した手話通訳者、日常会話程度の手話表現を習得し市町村においてボランティア活動を行う手話奉仕員の三つがあります。県では、聴覚障がいのある人が行政や医療機関に行く際に、依頼に応じて手話通訳者を派遣する事業を行っており、この事業に従事することができるのは、一の図で太枠で囲んでいる手話通訳士と手話通訳者となっています。本県では、両政令市を除き現在百六十三名の手話通訳者が活動されており、そのうち五十三名の方が手話通訳士の資格を有しておられます。また、市町村において約三百名の手話奉仕員が活動されています。二に、本県の試験に合格して登録された手話通訳者数の推移を示しています。一昨年度以降僅かではありますが、徐々に増加しております。三には、登録試験合格率の推移を示しています。合格者がいなかった平成二十九年度を除き、おおむね二割前後となっています。 205 ◯高橋義彦委員 それでは、県において登録試験を行っている手話通訳者についてお聞きいたします。資料によれば合格率が低い状況にあります。この低い合格率についてどのように認識しておられるのでしょうか。また、合格率向上のためにどのようなことに取り組まれておられますでしょうか。 206 ◯宮崎障がい福祉課長 手話通訳には一定以上の技術水準が必要であることから、県が実施する手話通訳者登録試験は全国手話研修センターの試験問題を使用しています。ほとんどの都道府県においても、この試験問題を使用しており、その合格率は全国的に厳しい状況となっています。県では、より多くの方が合格できるよう手話奉仕員を主な対象として手話通訳者養成研修を実施し、より高い技術の習得を支援しています。また、この研修の講師の指導技術を向上させるため、全国手話研修センターが実施する指導者養成研修の受講費用を負担しているところです。 207 ◯高橋義彦委員 県では、合格率の向上のために講師のレベルアップ等に取り組まれていますが、私は手話通訳者が増えない理由の一つに賃金水準が低いことが影響していると思っております。手話通訳の仕事だけで生計を立てていくのは困難な状況であるとも聞いているところです。  そこで、県において手話通訳者の処遇改善にどのように取り組んでおられるのかお尋ねいたします。 208 ◯宮崎障がい福祉課長 先ほど申し上げました県が実施している手話通訳者派遣事業における報酬単価が全国平均と比べ低く、また一回当たりの支給上限もあったことから、今年度一時間当たりの単価を千円から二千円に引き上げるとともに、支給上限を撤廃する見直しを行いました。このことによって全国平均と同程度の水準となったところです。 209 ◯高橋義彦委員 質問の冒頭に触れた総務省が実施している電話リレーサービスをはじめ、様々な場面で手話通訳者の活躍の場が広がっていますが、その一つとして遠隔手話があります。自然災害の発生時などにおいて聴覚障がいのある方のコミュニケーションを確保する取組です。県の取組状況についてお伺いいたします。 210 ◯宮崎障がい福祉課長 県では昨年度、福岡県手話の会連合会に通信用機器を配備し、聴覚障がいのある方が災害時や医療機関を受診する際などにスマートフォンなどを活用して遠隔で手話通訳を利用できる体制を整備しました。このことによって、県内全ての市町村において遠隔手話が利用できます。これまで災害時の利用はありませんが、新型コロナウイルス感染症に感染した疑いがあるとして医療機関を受診された際の利用が二十七件あったところです。 211 ◯高橋義彦委員 このように手話通訳者の果たす役割は大きくなっています。これまでのように手話通訳をボランティアの延長として捉えるのではなくて、聴覚障がいのある人とない人の間でコミュニケーションを仲介するという重要な役割を担い、そのための専門的な知識と技能を有するプロフェッショナルだと認識を持って手話通訳者の育成に取り組んでいかなければならないと思っております。  そこでお伺いいたします。手話通訳者を増やすために、まず現在、ボランティア活動をされている手話奉仕員の方々が手話通訳者になってもらうことが近道だと考えますがいかがでしょうか。 212 ◯宮崎障がい福祉課長 委員御指摘のとおり、手話通訳者の確保のためには多くの手話奉仕員の方々が手話通訳者を目指していただきたいと考えております。このため、手話通訳者の重要性や意義、また今後、手話通訳のニーズが高まること、このほかにも、県において手話通訳者の報酬単価を引き上げたことなどを市町村を通じ、手話奉仕員に対して周知してまいります。  また、併せて、手話通訳者を志す意向があるのか、手話通訳者になるために直面している課題があるかなどについてお聞きしてまいりたいと考えております。 213 ◯高橋義彦委員 今後ますます手話通訳に対するニーズが高まると見込まれる中、手話奉仕員に限らずもっと裾野を広げていくことが必要であると考えます。県として何か方策を持っているのかお伺いいたします。 214 ◯宮崎障がい福祉課長 手話通訳者を目指す方を増やしていくためには、若い世代に手話通訳に関心を持っていただくことが必要であると考えております。このため、公立大学法人福岡県立大学をはじめ、県内の福祉系大学に対して手話の意義や手話通訳者という職業の魅力について学生に周知していただくよう働きかけてまいります。 215 ◯高橋義彦委員 繰り返しになりますが、手話通訳者に対するニーズは今後もますます高まっていきます。ぜひ手話通訳者を志す方が増えるよう手話通訳者の方々が活躍できる環境づくりをお願いして、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) 216 ◯渡辺美穂副委員長 ほかに質疑はありませんか。      〔「なし」と呼ぶ者がある〕 217 ◯渡辺美穂副委員長 ないようですので、以上で、第五款生活労働費に関する質疑を終わります。  この際しばらく休憩します。再開は午後二時三十五分といたします。    午 後 二 時 十 九 分 休 憩    午 後 二 時 三 十 五 分 再 開 218 ◯渡辺美穂副委員長 ただいまから委員会を再開します。  休憩前に引き続き議事を進めます。  第六款農林水産業費について説明を求めます。重吉農林水産部長。 219 ◯重吉農林水産部長 それでは、六款農林水産業費について説明いたします。お手元の令和四年度予算に関する説明書の二百四十一ページをお願いいたします。  一項農林水産業企画費でございます。その主なものは、一枚めくっていただきまして、二百四十三ページ二目農山漁村振興費の右側説明欄、上から五番目の多面的機能支払事業費でございます。これは、農地や水路などの保全を図るものでございます。合計は、ページが飛びまして二百四十七ページになりますが、計の欄、九十三億九千二百万円余をお願いしております。  一枚めくっていただきまして、二百四十八ページをお願いいたします。二項農業費でございます。その主なものは、次の二百四十九ページにまいりまして、二目園芸振興費の右側説明欄一番下の園芸作物振興対策費でございます。これは、収益性の高い園芸農業の振興を図るものでございます。合計は、ページが飛びまして二百五十二ページになりますが、計の欄、百十億八千八百万円余をお願いしております。  次の二百五十三ページに参りまして、三項畜産業費でございます。その主なものは、一枚めくっていただきまして二百五十四ページになりますが、二目畜産振興費の右側説明欄、上から六番目の畜産振興総合対策費でございます。これは、畜舎整備などの生産対策を行うものでございます。合計は、一枚めくっていただきまして二百五十六ページになりますが、計の欄、十七億五千二百万円余をお願いしております。  四項農地費でございますが、その主なものは、次の二百五十七ページに参りまして、二目農村整備費で、右側説明欄では一枚めくっていただきまして二百五十八ページ、上から二番目の県営ため池等整備事業費でございます。これは、農業用ため池の改修などを行うものでございます。合計は、次の二百五十九ページ、計の欄、百四十四億七百万円余をお願いしております。  続きまして、五項林業費でございます。その主なものは、ページが飛びまして二百六十四ページになります。四目治山費の右側説明欄、上から五番目の治山事業費でございます。これは、山地災害の復旧、防止を行うものでございます。合計は、ページが飛びまして二百六十八ページになりますが、計の欄、百四十二億一千三百万円余をお願いしております。  次の二百六十九ページに参りまして、六項水産業費でございます。その主なものは、一枚めくっていただきまして、二百七十ページになりますが、二目水産業振興費の右側説明欄、一番下の沿岸漁場整備開発事業費でございます。これは漁場の整備や改善を行うものでございます。合計は、ページが飛びまして二百七十七ページになりますが、計の欄、六十七億二千九百万円余をお願いしております。  以上で農林水産部所管の説明を終わります。よろしく御審議のほどお願いいたします。 220 ◯渡辺美穂副委員長 説明は終わりました。  これより質疑を行います。質疑はありませんか。吉田浩一委員。 221 ◯吉田浩一委員 自民党県議団の吉田浩一でございます。  通告に従いまして、鳥獣被害防止対策の強化についてお伺いいたします。  野生鳥獣による農林水産物被害は依然として発生しております。農山漁村には深刻な影響を与えており、鳥獣被害防止対策の強化が必要と考えていますので、特に捕獲と獣肉の有効利用対策の面から質問をしていきたいと思っております。  まず、本県の有害鳥獣による農林水産物被害の推移と捕獲の状況、特にイノシシ、鹿の状況についてお伺いします。 222 ◯渡辺美穂副委員長 池田農山漁村振興課長。 223 ◯池田農山漁村振興課長 令和二年度の野生鳥獣による農林水産物の被害額は七億四千万円と、ピークの平成二十二年度の十五億七千万円に比べ半減しております。令和二年度の捕獲頭数はイノシシが約三万頭で前年度から五千頭の増加、鹿は約一万一千頭で前年度からやや増加しております。 224 ◯吉田浩一委員 被害額は減少しているようですが、捕獲を担う狩猟者は減少、高齢化しております。県では、狩猟免許試験の回数増加や実践的な研修会の開催により狩猟者確保の取組を実施されているようですが、今後も捕獲を続け、被害を減少させるには狩猟者確保の取組を強化する必要があると考えております。  そこで、狩猟者の確保に向け、県ではどのように取り組んでいかれるのかお答えください。 225 ◯池田農山漁村振興課長 県では、狩猟免許取得者を確保するため、狩猟試験の実施回数を年二回から四回に増やすとともに、狩猟免許の取得に要する経費を支援しております。また、狩猟経験のない免許取得者を対象に、わなの設置や猟銃の取扱いなど実践的な研修を開催しておりますが、この研修受講者から、一日では覚えられない、反復研修を実施してほしいとの声もいただいております。このため、来年度から新たに月に一回程度五か月間にわたって、ベテラン狩猟者を講師とするマンツーマン研修を実施し、狩猟者の育成を強化してまいります。 226 ◯吉田浩一委員 狩猟者の確保に向けた強化は大いに期待しております。捕獲に関してもう一つ気になるのが経費の問題です。捕獲する際には経費がかかってくるため、捕獲頭数に応じて補助金が交付されております。この補助金を受けるに当たっては捕獲個体の確認のため、尾を切り落として市町村役場へ持っていく必要があると聞いておりますが、この方法は手間暇がかかるし、非衛生的であると考えております。この確認方法についてほかの方法もあるのではないかと思いますが、県の見解を伺います。 227 ◯池田農山漁村振興課長 捕獲の確認につきましては、補助金を受ける際に捕獲個体が流用されないよう尾を確認する必要があり、この確認ができないと国の捕獲補助金が交付できないこととされています。しかしながら、委員御指摘のとおり、尾を持ち込む狩猟者に加え、尾を受け取る市町村からも衛生的でない、精神的な苦痛を伴うという声も聞いていることから、位置情報つきの写真で確認するなど正確でより衛生的な確認方法となるよう国に要望してまいります。 228 ◯吉田浩一委員 ICT機器を使ってオンラインで申請を行う方法などもあると思いますので、国へしっかりと働きかけるようお願いしておきます。  次に、狩猟者の活動範囲についてです。狩猟者が有害鳥獣を捕獲する際は市町村の許可が必要であり、捕獲の範囲は許可を行った市町村の域内に限られますが、狩猟者の皆様からは追い込んだ鳥獣が市町村の境を越えたら取り逃がすしかない、捕獲補助金をもらえないということを聞きます。このような中、昨年六月に鳥獣被害対策特別措置法が改正され、県が広域捕獲を実施できることになったと伺っております。その内容についてお答え願います。 229 ◯池田農山漁村振興課長 昨年六月の法改正により、来年度から市町村の被害防止対策だけでは十分な効果が出ない場合には、県が狩猟者に対し市町村域を越えた有害捕獲を許可した上で広域的な捕獲が実施できることとされました。  また、国の鳥獣被害防止総合対策交付金の捕獲補助金については、これまで市町村からのみ狩猟者へ交付される制度でしたが、県が行う広域捕獲についても捕獲補助金が交付されることとなりました。 230 ◯吉田浩一委員 県が市町村域を越えて広域捕獲を実施することは捕獲数の増加につながり、被害防止に大変有効だと考えますが、近接する市町村で一斉に山に入り銃を使った猟を行えば事故発生の危険性も高まるのではないかと懸念されます。このため、市町村や狩猟者との十分な調整が必要になると思います。広域捕獲をどのように進められるのか具体的にお答えください。 231 ◯池田農山漁村振興課長 広域捕獲の実施に当たっては、県、市町村、福岡県猟友会等で構成される福岡県鳥獣被害対策協議会において、広域捕獲の実施時期や範囲などを決定してまいります。その上で農林事務所ごとに設置している地域協議会では、市町村や現場を熟知している狩猟者等の関係者と捕獲を行う各グループの行動範囲、タイムスケジュールなどを調整し、事故防止の徹底に努めてまいります。 232 ◯吉田浩一委員 市町村や狩猟者の皆様と十分な協議を行った上で、効果的かつ安全な広域捕獲を進めていただくようお願いします。捕獲が増えれば獣肉を地域での貴重な資源として活用することが期待されます。しかし、実際には狩猟者から、捕獲した野生鳥獣を食肉として利用するには捕獲後短時間で獣肉処理加工施設に持ち込む必要があり大変だという声を聞きます。県では、狩猟者の負担軽減を図るため、民間企業の力を借りて獣肉の新たな供給の仕組みをつくるモデル事業に糸島地区と添田地区で取り組んでいると伺っております。まず、この事業の状況と今後の展開についてお伺いします。 233 ◯池田農山漁村振興課長 糸島、添田の両地区では獣肉処理加工施設と民間事業者が中心となり、地元関係者との調整を図りながら、現地での実証に着手しており、昨年度の処理頭数の実績は八十二頭、今年度は百六十頭が処理される見込みです。この結果、経験のない民間事業者でもある程度の経験を積めば、止め刺しや放血等の技術を習得できることが分かりましたが、今後普及させていくためにはコスト縮減が課題となることから、処理頭数を増加させることが必要となっています。このため、来年度は実証の範囲を糸島地区や添田地区以外へも拡大させることとしております。 234 ◯吉田浩一委員 狩猟者の負担軽減に向け、このモデル事業の取組が各地域に広がることは大変重要です。今後もきちんと検証しながら進めていっていただきたいと考えております。  次に、捕獲鳥獣の新たな有効活用について伺います。  私は、かつて佐賀県武雄市の獣肉処理施設を現地視察させていただきました。武雄市での取組は、捕獲したイノシシや鹿の内臓や骨、いわゆる残渣を堆肥として有効活用するというもので、有害鳥獣を資源として活用し、農家へ肥料として還元するという大変興味深い取組でした。そこで、残渣の処理について本県の状況を伺います。 235 ◯池田農山漁村振興課長 残渣の処理につきましては、県、市町村、獣肉処理加工施設で構成するふくおかジビエ流通促進協議会において、残渣の処理方法やコストについて研究を進めてまいりました。その結果、堆肥化については販売単価が低く、製造コストと合わなかったことから、さらに研究を進めたところ、販売単価の高いペットフードの原料としての活用が見込めることが分かりました。このため、県では、各加工施設の加工技術の向上に要する経費や残渣を一時保管するための冷凍庫の導入等に対して支援してまいります。 236 ◯吉田浩一委員 今まで獣肉処理加工施設では、品質の悪い肉や内臓、骨など、そのほとんどが廃棄処分になっていたと聞いております。これら残渣の有効活用について、ペットフード原料としての利用にめどが立ったということです。その利益が狩猟者の皆様に還元されれば、さらに捕獲が進むと期待されますので、しっかりと進めていただきたいと思います。  鳥獣被害対策の強化の観点から、捕獲と獣肉の有効利用について質問してきました。最後に、さらなる鳥獣被害の軽減に向け、今後どのように進めていくのか部長に見解を伺います。 237 ◯渡辺美穂副委員長 重吉農林水産部長。 238 ◯重吉農林水産部長 県では、鳥獣によります農林水産物の被害を軽減するために侵入防止、捕獲、獣肉の有効利用までの対策を一体的に実施しておりまして、農林水産物の被害額は減少しているところであります。しかしながら、委員から御指摘がありましたように、依然として被害は続いていることから、侵入防止と捕獲対策をさらに強化するため、これまでの取組に加えまして、人と野生動物のすみ分けを図ります緩衝地帯の整備や市町村域を越えた一斉捕獲を実施してまいります。さらに、獣肉の消費拡大を図るとともに、新たに残渣の有効活用についても取り組んでまいります。県としましては、こうした取組を市町村や猟友会、農業団体といった関係機関と連携し、さらなる鳥獣被害の軽減に努めてまいります。 239 ◯吉田浩一委員 終わります。(拍手) 240 ◯渡辺美穂副委員長 ほかに質疑はありませんか。原中誠志委員。 241 ◯原中誠志委員 お疲れさまでございます。民主県政県議団の原中誠志です。  発言通告に従いまして、有害鳥獣対策について質問いたします。  今回の質問に当たりましては、昨年の十二月二十二日、田川市のジビエ猪之国、同日、みやこ町の有害鳥獣加工センターを視察いたしました。さらには、本年一月二十六日の西日本新聞「鳥獣対策、警備会社にお任せ」という記事を読み、視察やマスコミの報道を踏まえ、本県における鳥獣被害の現状、駆除作業の状況、さらには狩猟後の運搬、食肉の加工販売について問題意識を持つとともに、今も自民党県議団の吉田浩一委員の質問もありましたけれども、これまで本県が取り組んできました鳥獣被害対策を補足強化する立場から本日の質問に至ったところであります。  また、一口に有害鳥獣といいましても、イノシシや鹿といった駆除に技術を要する野生動物から、今日ではハクビシン、さらにはイタチ、ネズミ、コウモリといった動物も獣害対策の対象になっております。こうした有害鳥獣の駆除に当たっては猟友会の会員の方々が専門にわなかけされたり、猟銃で駆除をされたり、さらには自治体が独自で駆除をするという事例もあります。さらに、インターネットで検索いたしますと、全国で有害鳥獣を専門に駆除する民間事業者は数多くヒットいたします。こうした民間事業者をそれぞれの地域で活用できれば野生鳥獣による農作物被害を減らせるのではないかと思うわけであります。  そこでまず、執行部に事前に令和二年度の野生鳥獣による農作物被害について資料要求しておりますので、委員長のお取り計らいをお願いいたします。 242 ◯渡辺美穂副委員長 お諮りいたします。  ただいま原中委員から要求がありました資料を委員会資料として要求することに御異議ありませんか。      〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕 243 ◯渡辺美穂副委員長 御異議がありませんので、本委員会の要求資料といたします。  執行部に申し上げます。ただいま原中委員から要求がありました資料については提出できますか。池田農山漁村振興課長。 244 ◯池田農山漁村振興課長 直ちに提出いたします。 245 ◯渡辺美穂副委員長 資料を正副委員長に確認させてください。      〔資料確認〕 246 ◯渡辺美穂副委員長 事務局は資料を配付してください。      〔資料配付〕 247 ◯渡辺美穂副委員長 資料が配付されましたので、原中委員、質疑を行ってください。 248 ◯原中誠志委員 まず、この資料について執行部より説明をお願いいたします。 249 ◯池田農山漁村振興課長 令和二年度の野生鳥獣による農作物の被害額は六億八百万円となっております。その内訳としましては鳥類が一億八千九百万円、獣類が四億一千九百万円、そのうちイノシシによる被害が三億一千万円で、全体の約半数を占める状況です。なお、地域別では筑後農林管内が一億六千六百万円と最も多く、次いで朝倉農林管内が一億四千六百万円となっております。 250 ◯原中誠志委員 この資料を見ますと、地域別では福岡、筑後、飯塚、朝倉農林管内の被害が多いのが分かります。また、福岡農林管内でも非常に多いというのが資料からも分かるとおりであります。県中央部から県南部にかけて被害が多くなっております。また、鳥獣の種類ではイノシシの被害が非常に多く、福岡農林管内でも最も多くなっているということであります。  そこで、イノシシによる被害について作物別の状況についてお答えください。 251 ◯池田農山漁村振興課長 令和二年度のイノシシ被害三億一千万円のうち、稲や麦類の被害が四割、次いで果樹が三割、野菜が二割となっております。 252 ◯原中誠志委員 県では、こうした被害を軽減するために、有害鳥獣の捕獲と捕獲した鳥獣の食肉としての利用を推進されているということであります。直近のイノシシ、鹿の捕獲頭数を教えていただき、また、そのうち食肉として利用された頭数と捕獲した頭数の何割が食肉として利用されているのか併せてお伝えください。
    253 ◯池田農山漁村振興課長 令和二年度の捕獲頭数につきましては、イノシシが三万頭、鹿で約一万一千頭捕獲されております。そのうち食肉として利用されたのはイノシシで約二千頭、鹿で約八百頭となっており、利用率はイノシシ、鹿とも七%程度となっております。 254 ◯原中誠志委員 捕獲されたイノシシ、鹿とも七%の、いわゆる食肉としての活用がされていないということであります。非常に残念であります。冒頭申し述べましたけども、昨年十二月二十二日に、福岡市内のフレンチレストランのオーナーシェフとともに獣肉処理加工施設を視察させていただきましたが、そのときに衛生的に処理されている上に品質も非常に良かったということで、その施設で加工された獣肉の注文をされておられました。また、県でも福岡ジビエフェアを開催するなど獣肉の消費拡大も推進されているようであります。ジビエの需要は、今後ますます増加してくるのではないかというふうに考えております。  そこで、県内の獣肉処理加工施設は幾つあるのかお答えください。 255 ◯池田農山漁村振興課長 令和二年度末現在の県内の獣肉加工処理施設は、公設が六施設、民設が十一施設あり、計十七施設となっております。 256 ◯原中誠志委員 それでは、次に県内の獣肉処理加工施設では年間どれぐらいの頭数が処理できるのか処理能力を教えていただきたいと思います。あわせまして、直近の処理実績と処理能力に対する割合を教えてください。その上で民間の施設については把握されてないということでありましたが、公設の施設についての状況をお伝えいただきたいと思います。 257 ◯池田農山漁村振興課長 公設の六施設の令和二年度の処理実績は約一千五百頭となっております。また、年間処理可能頭数は約二千三百頭となっておりますので、処理の割合は約六割であります。 258 ◯原中誠志委員 今のお答えもありましたように、公設の獣肉処理加工施設だけでもまだ年間八百頭も処理できる能力があるというわけでありますけれども、使われていないという状況であります。これは極めてもったいない話であります。  先ほどお答えいただいたように、捕獲頭数の僅か七%しか食肉として利用されていないと。この要因の一つとして、捕獲後すぐに止め刺しして運搬をし、獣肉を冷蔵しないと食材として活用できないというふうに説明を私も聞いておるところでありまして、それは理解しております。  しかしながら、県においても捕獲から運搬まで、いわゆる撃って山からそれを運び出すという、そういう運搬までの作業が、これは猟友会の方々とかもかなり高齢化をしていて随分苦労されているという話も聞いております。そうした意味では、捕獲から運搬までの作業が民間会社にできないか。先ほども申し上げましたように、これは西日本新聞の記事にもなっておりましたけれども、警備会社のALSOK福岡に協力をいただいて、このALSOK福岡さんが今実証をしているというふうに聞いております。その先の加工施設の運営や獣肉の販売まで一体的に行うことで民間企業としても利益を確保でき、この分野に参入できるのではないかと考えております。そうした取組を行っている県内の民間事業者について、県はどのように把握されているのかお答えください。 259 ◯池田農山漁村振興課長 県内では、飲食店が捕獲に取り組み、自ら整備した獣肉加工処理施設で加工し料理を提供している事例が一つあります。 260 ◯原中誠志委員 これもまた残念ながら県内では一事例しかないという状況でありますけども、これもインターネット上ではたくさんアップされておりますが、他県ではそういった取組を大規模に行っているという事業者もあるようであります。本県の実証に協力していただいておりますALSOKさんと同系列のようでありますけれども、鳥獣保護管理法に基づく認定鳥獣捕獲等事業者となり、捕獲したイノシシや鹿を回収するとともに、同事業者が衛生管理など食品関連の資格も取得をし、獣肉の加工も手がけ、飲食店に販売するなどジビエ事業に参入しておられるということであります。  そこで、同事業者は、害獣から農作物という財産を守るのも警備会社の仕事だということで、農家や猟友会は高齢化が進んで苦労されている。その部分を我々が引き受けるということで、そういう方針でこの事業者が取り組まれているということを聞いております。警備業が、異業種とも言えるジビエ産業への挑戦であります。  そこで、本県でもこのような取組を行う必要があるんではないかと考えますが、執行部のお考えをお示しください。 261 ◯池田農山漁村振興課長 本県では、これまで県内二市町で捕獲後の止め刺しから処理場までの運搬を民間事業者ができないか実証してきたところです。来年度からは市町村の枠を越え、広域的に取り組むことで作業の効率化が図れないか実証を始めることとしております。委員御指摘の他県の取組については、まだ始まって間もないことから、その状況を注視してまいります。 262 ◯原中誠志委員 冒頭資料に基づいて御説明いただきましたけども、年間六億円近い野生鳥獣による農作物被害が本県内で発生をしているという状況であります。やはりこうした農作物を守るということは、本県の主要な取組の一つであろうと思いますので、これからもしっかりこうした有害鳥獣対策について取り組んでいただくことを強く要望いたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) 263 ◯渡辺美穂副委員長 ほかに質疑はありませんか。堀大助委員。 264 ◯堀 大助委員 お疲れさまです。緑友会の堀大助です。  果樹振興について伺います。  令和四年度の予算議案にも果樹振興費が計上されているところですけれども、私の地元行橋市仲津校区にある新田原地区は、県内有数の果樹産地であります。その歴史は、今から百三十年前、明治時代の県外からの移住者による開墾に遡ります。しかし、現在、新田原地区の果樹は歴史的危機を迎えております。今回はこの現状に対する危機感を皆さんと共有するとともに、果樹産地の維持発展に向け、希望を見いだしたく質問をいたします。  本年一月、農林水産部に果樹の現状について聞き取り、その後、地元の果樹部会の方にお会いしてお話を伺いました。それを基に質問に入りたいと思いますが、まずは資料要求をいたします。本県及び行橋の果樹の栽培面積の推移について、あらかじめ執行部に資料の要求をしておりますので、委員長、お取り計らいをよろしくお願いいたします。 265 ◯渡辺美穂副委員長 お諮りいたします。  ただいま堀委員から要求がありました資料を委員会資料として要求することに御異議ありませんか。      〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕 266 ◯渡辺美穂副委員長 御異議がありませんので、本委員会の要求資料といたします。  執行部に申し上げます。ただいま堀委員から要求がありました資料については提出できますか。久保田園芸振興課長。 267 ◯久保田園芸振興課長 直ちに提出いたします。 268 ◯渡辺美穂副委員長 資料を正副委員長に確認させてください。      〔資料確認〕 269 ◯渡辺美穂副委員長 事務局は資料を配付してください。      〔資料配付〕 270 ◯渡辺美穂副委員長 資料が配付されましたので、堀委員、質疑を行ってください。 271 ◯堀 大助委員 まず、資料の説明を簡潔にお願いいたします。 272 ◯久保田園芸振興課長 それでは、まず本県の果樹の栽培面積の推移について御説明いたします。上段の表を御覧願います。果樹全体では平成二十二年時点で七千三百九十ヘクタールであったものが令和元年時点で五千百十ヘクタールと、この十年間で三割ほど減少しています。品目ごとに見ましても、主要品目では全て減少している状況でございます。そのうち、キウイフルーツ、ブドウ、梨につきましては、二十二年時点からの減少率は比較的小さくなっておりますが、柿やイチジクでは十年間で四割ほど減少をしております。  次に、行橋市の果樹の栽培面積の推移について御説明いたします。中段の表を御覧願います。果樹全体では平成二十二年度時点で五十四ヘクタールでありましたものが、令和元年時点で三十三ヘクタールと十年間で四割ほど減少しております。特にイチジクにつきましては、平成二十二年時点で四十ヘクタールであったものが令和元年時点で十五ヘクタールと十年間で六割ほど減少しております。なお、下段は左側に県全体、右側に行橋市の果樹面積とイチジクの面積の推移をグラフで表しております。 273 ◯堀 大助委員 果樹全体が漸減傾向にあるということは分かりました。中でも特に柿やイチジクの減少が大きいようですが、その原因をどのように分析しているのかお答えください。 274 ◯久保田園芸振興課長 柿につきましては、ほかの主要品目に比べまして高齢化が進んでいること、また需要の減少による市場価格の低迷に加えまして、主要産地である朝倉地域が平成二十九年の九州北部豪雨で大きな被害を受けたこと、こういったことから他の果樹への転換や条件が悪い園地の廃園が進んでいるためと考えております。  また、イチジクにつきましては、稲作農家の経営を補完する作物といたしまして、高齢者でも取り組みやすいということから導入を進めてまいりました。そのため、時間の経過とともに経営規模の縮小や離農により栽培面積が減少していると考えております。 275 ◯堀 大助委員 説明は分かりました。特にイチジクが深刻であるということは数値からも見て取れると思っております。  そこで、ここからは地元行橋、そして地元名産のイチジクに焦点を当てて質問をいたします。  まず、全体として行橋の果樹産地の特徴をお答えください。 276 ◯久保田園芸振興課長 行橋市は、県内の他の地域に先駆けまして、イチジク、桃の生産が始まった地域であります。中でも新田原地域を中心に栽培されているイチジクにつきましては、行橋市の果樹面積の半分を占める品目であります。また、北九州市という消費地に近い地域にありますことから、市場出荷に加えまして直売などにより多様な消費者ニーズに対応できる産地が形成されていると認識しております。 277 ◯堀 大助委員 今述べていただいた特徴などによって、最盛期には百六十ヘクタールにも達したというような記事もあります。それが現在は資料のとおりで、本当に危機的だというふうに思っております。とりわけイチジクの栽培面積がここ十年で六割も減少していることについてどのように分析しているのかお答えください。 278 ◯久保田園芸振興課長 一つは、先ほど御説明いたしました県全体の状況と同様でございまして、高齢化が進んでいるため、まず栽培面積が減少しているものと考えております。また、行橋市は歴史ある産地でありまして、生産性が落ちた老木化した園地が多いことから、改植を本来なら進める必要がございます。しかしながら、イチジクは同じ園地に改植すると生育が悪くなりますため改植が進まない、こういったことも面積減少につながっていると考えております。 279 ◯堀 大助委員 先日伺ったJAの果樹部会では、部会員百四名の大半が高齢者で平均年齢は七十八歳ということでした。加齢に伴い作業もきつくなってくると思います。話によると、特に平成二十四年以降は親世代の引退に伴い、子世代への引継ぎがなくやめる人が増えているとのことです。さらに、定年後の新規就農者を期待していますけれども、定年そのものが延びている影響もあるとの意見もありました。このまま後継者が現れなければ果樹産地が消滅してしまうという強い危機感があります。  そこで部会では、高齢の方の作業負担を減らすため、剪定作業を請け負うサポート部を発足させました。まず、県ではこのような取組をどう受け止めていますか。 280 ◯久保田園芸振興課長 サポート部につきましては、部会の中から作業者を募集して組織されておりまして、部会員の栽培面積の約二割に当たります約二ヘクタールの剪定作業を請け負っております。このサポート部の活動によりまして、高齢農家の農作業負担が軽減され、部会員数の維持につながっておりまして、大変重要な取組だと考えております。 281 ◯堀 大助委員 次に、このサポート部は持続可能な組織運営をするために法人化を検討しています。県としてどのような支援を行うのかお聞きします。 282 ◯久保田園芸振興課長 サポート部を法人化することによりまして、離農されました園地の利用権設定、また作業員の雇用、こういったことができるようになります。このため、普及指導センターでは法人の設立に向けまして、農事組合法人や株式会社といった法人形態の選択、また収益や損失の分配方法などの課題を解決するため、税理士など専門家を交え、役員や部会に対する勉強会を開催しているところであります。サポート部は産地維持のため、農業者同士が組織的に助け合う重要な取組でありますので、このサポート部がさらに発展するよう普及指導センターが中心となって支援してまいります。 283 ◯堀 大助委員 様々な取組をしていただいております。非常に重要だと思っております。しかし、果樹産地の維持発展にとって最大の課題は後継者であります。さきの定年就農もそうですが、やはり最大の課題は新規就農者を増やすことです。さきに伺ったときに部会長もはっきりとサポート部は延命策だというふうに言っておりました。後継が見つからないから、やめる人を先延ばしするために大変な作業を請け負ってもらうと。部会長はさらに私にイチジクや果樹をしっかりやれば子供を大学に行かせるぐらいは十分できる。それぐらい力のある仕事だということも熱を持って語られました。私はそういう事実を前提に、希望を持てる仕事だからこそ、新規就農者を増やしてほしいと思っております。  そこで、そのことについて県の取組を伺います。 284 ◯渡辺美穂副委員長 川口後継人材育成室長。 285 ◯川口後継人材育成室長 県では、幅広く新規就農者を確保するため、農業に関心のある方を集めて就農セミナーや相談会を開催し、就農された方の体験談や具体的な支援策の情報を提供しております。加えて、県内で活躍する若手農業者の就農の動機や経営者からのメッセージなどを盛り込んだ動画をホームページで紹介しております。就農に際しましては、新規就農者の多くの皆さんが当面の生活費などに不安があるということから、国の交付金制度を活用し、所得の確保を支援しております。 286 ◯堀 大助委員 引き続きよろしくお願いいたします。  最後に伺います。冒頭触れたように新田原地区の果樹は、瀬戸内、五島からの移住者、そして地元の有志の協力によってつくり上げられてきたというすばらしい歴史があります。地元の人々にとって新田原地区の果樹は単なる農業を超えて文化としての側面を有しております。地元の行橋音頭というのがあるんですけども、行橋音頭には新田原地区のある仲津校区をうたう、ちょっと口ずさみますけども、「わたしゃ、行橋果樹園仲津」と、こういう歌詞もあるんです。これは、我々にとって文化であって、また心の風景でもあります。新田原の果樹が消える。イチジク、特にこの地域では蓬莱柿というのが有名なんですけれども、このイチジクが消えるということは行橋文化の一部が消滅することと同じなんです。このような悲しい結末は絶対に避けなければなりません。  そこで最後に、園芸振興課長も務められた部長に伺います。新田原地区を含む地元行橋の果樹振興にどのように取り組んでいくのか決意をお聞かせください。 287 ◯渡辺美穂副委員長 重吉農林水産部長。 288 ◯重吉農林水産部長 行橋地区の基幹品目でありますイチジクにつきましては、老木化した園地におきます施肥体系の改善や病害虫防除などの指導を行うとともに、近年連作しても収量が低下しにくい台木が開発されていることから、この台木を使い改植を推進していきます。また、高齢者の中にはイチジクのような長期間の収穫作業を負担に感じる方もいることから、イチジクの果樹棚を利用できます県の育成品種のキウイフルーツの甘うぃや柿の秋王の導入を進めまして、様々な果樹を組み合わせました複合経営を推進してまいります。県としましては、こうした取組に加えまして、担い手の確保や生産施設の整備を支援しまして、行橋地区の果樹産地の維持発展に努めてまいります。 289 ◯堀 大助委員 よろしくお願いいたします。ありがとうございました。(拍手) 290 ◯渡辺美穂副委員長 ほかに質疑はありませんか。高橋雅成委員。 291 ◯高橋雅成委員 公明党の高橋です。  農福連携についてお伺いします。  日本の農業におきましては、働き手の高齢化が進み、その数もこの二十年ほどでおよそ半数まで減少しております。本県においても同様の状況であると思っております。一方で、障がい者福祉においては、働きたくても働く場がない、見つからない、働いても賃金や工賃が低いという現状があります。農林水産省は、こうした双方の課題の解決につながる糸口が、人手が足りない農業と働く場の確保と賃金の向上を求める福祉が結びつく農福連携として位置づけております。  そこで、働き手の確保と共生社会の実現にも資する取組だと思いますが、改めて農福連携とはどのような取組なのかお伺いします。 292 ◯渡辺美穂副委員長 石松農林水産部次長。 293 ◯石松農林水産部次長 農福連携とは、障がいのある方が農業分野で活躍することを通じ、自信や生きがいを持って社会参画を実現していく取組であります。農福連携に取り組むことは、障がいのある方の収入確保や生きがいづくりの場を生み出すだけでなく、高齢化が進む農業分野におきましても、新たな働き手の確保につながる可能性もあり、農業、福祉にとって有意義な取組であると考えております。 294 ◯高橋雅成委員 令和二年に農林水産省が発表しました農福連携事例集を見ますと、全国で四十七か所が紹介されておりますけども、福岡県の事例は紹介されておりません。県内では何件の農業者が取り組まれているのか、また、その取組内容について教えてください。 295 ◯石松農林水産部次長 県内では、農業者やJAが福祉施設へ作業を委託したり、直接雇用しているものが七十七事例あります。これは、取組の九割が野菜や花といった園芸農業で、ネギ農家の種まき、出荷調整作業や菊農家の芽摘みなど、機械化が難しく手作業を必要とする作業が行われております。 296 ◯高橋雅成委員 県内での取組状況については分かりましたけども、まだまだ件数が少ないと思います。それは農福連携という取組が農業者に十分周知されていない。農業者側が一歩を踏み出しにくいと感じているのではないかと思います。農福連携を進めるためには、まずはできるだけ多く農業者の方々に農福連携のことを知っていただき、裾野を広げていくことが重要だと考えます。  そこで、県は農業者に農福連携についてどのように理解を深める取組を行っているのか伺います。 297 ◯石松農林水産部次長 農福連携がどのようなものかを具体的に多くの方に知ってもらうために、本年度、農福連携フォーラムを飯塚市と小郡市の二地区で開催し、農福連携に関心のある農業者をはじめ、福祉施設の職員、市町村職員、JA職員など百五十名の方に参加いただきました。フォーラムでは、障がいのある方の就労機会を確保するため、社会福祉法人などを立ち上げた農業者の方から運営の苦労ややりがいなどの体験談を紹介していただくとともに、県内の取組事例を紹介し、意見交換も行ったところです。 298 ◯高橋雅成委員 フォーラムで優良事例を知ってもらって、農福連携に取り組みたいと農業の方々がそう思われても、すぐに取り組むということは難しいのではないかと思います。実際に農福連携に取り組むに当たって、農家側にどのような課題があるんでしょうか。 299 ◯石松農林水産部次長 第一に、農業者からは、障がいの種類やその特性が分からない、障がいのある方にどんな仕事をお願いしたらよいのか分からない、あるいはコミュニケーションの取り方や仕事の指示の仕方が分からないなどの声が多く、障がいのある方に対する知識がないことによる不安をなくすことが課題であると考えております。  また、障がいのある方が使いやすい道具やトイレなど受入れに必要な環境がどのようなものか分からない、あるいは環境整備にかかる費用が幾らぐらいで、どうやってその資金を確保したらよいのかといった受入環境の整備も課題となっております。 300 ◯高橋雅成委員 今のお答えでしたら、農業者の方々が農福連携に取り組むためには具体的に障がい者の方にどのような配慮が必要なのか、それを学ぶ必要があると思います。このため、県は農福連携を学びたいと考えている農業者の方々に対してどのような支援を行っていますか。 301 ◯石松農林水産部次長 農業者を対象に障がいのある方にとってどのような仕事が適するのか、配慮すべき点は何かを具体的に学ぶ農福連携講座を開催いたしております。講座では、障がいの程度に応じて農作業の割り当て方や賃金の決め方に関する講義や実際に福祉事務所の現地視察を行い、五日間のカリキュラムで二十二名の方に受講していただいたところです。 302 ◯高橋雅成委員 実際に障がいのある方を受け入れるに当たって、障がいのある方が健康を阻害されずに衛生的かつ安全に作業するためには働く環境を整える必要もあると思います。県は、障がいのある方の働きやすい環境整備についてどのような支援を行っているのか伺います。 303 ◯石松農林水産部次長 県では、障がいのある方を受け入れるために必要となる多目的トイレや休憩所などの施設整備のほか、作業場の段差解消など安全面に配慮した改修を支援しているところです。 304 ◯高橋雅成委員 分かりました。農福連携を進めるためには、障がいのある方が農業に慣れ親しんでいただくことも重要だと思います。障がい者の方が農作業を体験できる機会は提供されているのかお伺いします。 305 ◯石松農林水産部次長 平成二十九年度から農業大学校におきまして、障がいのある方や福祉施設の支援員を対象とした農作業体験研修を実施しております。具体的には野菜、果樹の収穫や花の手入れ作業などについて、農業大学校の職員が講師となって研修を行っております。この研修には、農福連携の理解を深めるため、農業大学校の学生にも参加していただいております。これまで五年間で延べ五十九の福祉施設、二百六十三名に参加いただいているところでございます。 306 ◯高橋雅成委員 五年間で五十九福祉施設、二百六十三名が参加ということですけども、これは障がいのある方も当然ですが、その施設の職員なんかも含まれているのではないかと思います。ですから、多分半分ぐらいが障がいのある方ということなんだろうと思います。それも五年間ですから、ちょっと参加者としては少ないのではないかなと感じます。農業は、季節によって作業の開始時間が変わったり、天候によって作業がなくなるなど不安定なところがございます。障がいの方々が安心して働くためには、安定した作業の確保が必要だと思います。障がいのある方々が安定的に働くためにどのような取組があるのかお尋ねします。 307 ◯石松農林水産部次長 障がいのある方が安定的に働くために、年間を通じまして一定の作業が確保できるよう野菜農家がゴボウ茶というのを作ったり、あるいは高菜の漬け物加工を行うなど六次産業化に取り組む事例も出てきております。 308 ◯高橋雅成委員 農業者側、それから福祉側それぞれの課題をお伺いしました。そして、それぞれの取組につきましても様々御努力されていることは理解しました。ただ、県は今後、この農福連携をもっと進めていくためにどう推進していくのかということをちょっとお伺いしたいと思います。 309 ◯石松農林水産部次長 農福連携の取組を広げるため、農業者が先進事例や、あるいは障がい者の作業の割り当て方などを学ぶ農福連携講座を引き続き実施してまいります。加えて、来年度からは障がいのある方の支援活動を行っていますNPO法人でありますセルプセンター福岡の農福連携マッチング窓口を充実させまして、市町村やJAなど関係機関とも協力しながら、福祉施設と農業者のマッチング機会を増やしてまいります。これらの取組により農福連携に取り組む農業者を増やしてまいります。 310 ◯高橋雅成委員 どうぞよろしくお願いします。農福連携は、農業サイド、福祉サイド双方にメリットがあります。社会的に大変意義のある取組だと理解しております。農福連携を全国的に広く展開し、国民的運動として機運を高めようということを目的として、国では農福アワードというのを実施しております。ぜひ福岡県においても農福アワードにおいての受賞を目指して、農福連携の取組の推進をぜひ強力に進めていただきますようにお願いしまして質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) 311 ◯渡辺美穂副委員長 ほかに質疑はありませんか。井上順吾委員。 312 ◯井上順吾委員 皆さん、こんにちは。今日は農林水産の審査日でありまして、大変懐かしく栗原渉元議長が傍聴に来ております。(拍手)そして、私のワンヘルスを勉強したいということで大野城市議団十一名全員参加をしております。(拍手)  それでは、通告に従いまして、四王寺県民の森におけるワンヘルスの森整備について質問いたします。  本議会の代表質問において我が会派の野原県議が質問しました、ワンヘルス推進におけるアジア獣医師会連合FAVA大会の支援につきまして、知事は、四王寺県民の森をワンヘルスの森として整備し、FAVA大会の参加者にワンヘルスの森での森林浴やセンダンの植樹を行っていただくと回答されました。  このワンヘルスの森が設置されている四王寺県民の森は、私の地元大野城市、そして、今委員長席に座っておられます副委員長の渡辺美穂議員、そして、委員長であります糟屋郡選出の吉松源昭委員長、ちょうどトライアングルなんですね。ここに四王寺山がありましたら、大野城市、太宰府市、そして宇美町という、そういう縁に恵まれた質問になるわけでありまして、この二市一町にまたがる四王寺山にある施設であります。折しも四王寺県民の森の地元の大野城市や太宰府市では、三月議会においてワンヘルスの推進の決議が予定されているところであります。また、宇美町においては、二月に町議会議員選挙を実施されたばかりでありますので、今後決議に向けて取り組んでいただくと聞き及んでおります。そういった中で、この四王寺山にワンヘルスの森が設置されることを地元として非常に喜ばしく受け止めています。  このワンヘルスの森が設置される四王寺山の価値を皆さんに知っていただくために、歴史も古く太宰府と同じくする日本最古の山城大野城跡が眠る四王寺山を御紹介します。大野城市の名称に由来する特別史跡大野城跡。この大野城跡は、標高四百十メートルの四王寺山の山頂一帯に築かれた古代山城であります。今から千三百五十五年ほど前、朝鮮半島の百済が唐と新羅によって滅ぼされた際に、我が国は復興の援軍を派兵しまして、韓国南西部の白村江で唐の水軍と対峙しますが、壊滅的な打撃を受けています。これが教科書でも有名な六百六十年の白村江の海戦であります。敗戦後、我が国は再度立ち上がり、中央集権国家を目指すのですが、唐や新羅の襲来に備えて水城や大野城という古代山城を博多湾奥の現在地に築いたのであります。四王寺山の地形は、北側に大きな谷を取り込んだU字型の尾根線が巡っています。周囲が高く内部が低いカルデラのような特異な地形をしており、城壁はその周囲の高い縁辺部に巡らせています。総延長は約六キロメートル。恐らく東アジアでは最大級の規模を誇る山城です。城壁の基本は盛土を固めた土塁、谷まで石塁を造り、中でも百間石垣という石塁は規模も大きく、その強固な威容はとにかく圧巻であります。また、城内の各所には奈良の正倉院のような米倉が五十棟近くも整然と建ち並んでいたことが分かっており、二十万人の一年分相当を蓄えたと言われています。まさに古代における非常時の食料備蓄基地でもあったのです。  そこで、四王寺山にある四王寺県民の森におけるワンヘルスの森の整備について質問いたします。まず初めに、四王寺県民の森についてその概要と施設利用者数及び現況写真についての資料をあらかじめ執行部に要求していますので、委員長、よろしく取り計らいをお願いいたします。 313 ◯渡辺美穂副委員長 お諮りいたします。  ただいま井上順吾委員から要求がありました資料を委員会資料として要求することに御異議ありませんか。      〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕 314 ◯渡辺美穂副委員長 御異議がありませんので、本委員会の要求資料といたします。  執行部に申し上げます。ただいま井上順吾委員から要求がありました資料については提出できますか。佐伯林業振興課長。 315 ◯佐伯林業振興課長 直ちに提出いたします。 316 ◯渡辺美穂副委員長 資料を正副委員長に確認させてください。      〔資料確認〕 317 ◯渡辺美穂副委員長 事務局は資料を配付してください。
         〔資料配付〕 318 ◯渡辺美穂副委員長 資料が配付されましたので、井上順吾委員、質疑を行ってください。 319 ◯井上順吾委員 それでは、四王寺県民の森について簡単に説明をお願いいたします。 320 ◯佐伯林業振興課長 四王寺県民の森は、大野城市、太宰府市、宇美町にまたがる広さ三百四十二ヘクタールの県立森林公園で、自然に関する知識の普及や健康増進を目的に設置をされております。園内には学習展示館のほか、野外音楽堂などがあり、下の写真のように針葉樹、広葉樹が入り交じった多様な森林が広がっております。また、全域が特別史跡大野城跡に指定されており、土塁や石垣、礎石跡といった史跡展示もなされております。近年、コロナの影響で利用者数は減少しておりますけど、過去五年平均でも年間二十五万人の方々に利用していただいております。 321 ◯井上順吾委員 利用者数についてであります。令和元年度、令和二年度は新型コロナウイルス感染拡大の影響により減少したというわけで分かりますが、平成三十年度に利用者数が落ち込んでいるその理由について教えてください。 322 ◯佐伯林業振興課長 平成三十年度は豪雨災害の影響によりまして、四王寺県民の森へのアクセス等が一時寸断されたため、利用者数が減少したものでございます。 323 ◯井上順吾委員 災害や新型コロナウイルスの影響であっても年間二十万人を超える県民が訪れている四王寺県民の森がある一帯は、先ほど説明がありましたように国の特別史跡大野城跡に指定されている文化財でもあります。千三百年以上前に築かれた一連の遺産群は、国内でも有数の規模を誇り、歴史的に極めて重要な遺産です。一昨年度には、日本遺産古代日本の「西の都」に追加認定され、全部で三十件の構成文化財とともに、千三百年前の古代国際都市「西の都」を現代において体感できる場所となっています。あと数年で開設五十周年を迎えようとしている四王寺県民の森が、このような歴史的にも重要な場所である四王寺山に設置された経緯をお聞かせください。 324 ◯佐伯林業振興課長 四王寺県民の森は、昭和四十二年に明治百年記念行事として着手されまして、十年間の整備期間を経まして、昭和五十一年に福岡県立四王寺県民の森としてオープンいたしております。当初は、太宰府歴史公園の中核を成す四王寺山を中心に、県民が森林内で活動するとともに気軽に歴史と自然に接することができる場の創設を目的に整備をされております。昭和五十四年には、現在の上皇・上皇后両陛下である皇太子・皇太子妃両殿下御臨席の下、第三回全国育樹祭が開催をされております。 325 ◯井上順吾委員 今お答えいただきましたように、当初から歴史と自然に県民が接することを目的として四王寺県民の森は設置されたことが分かります。地域の住民にとっても、こうした大野城跡や水城跡といった史跡は非常に関心が高いものでありますし、観光資源としても非常に価値があると言えます。  例えば、私の地元大野城市には、二〇一八年に市民ミュージアム大野城心のふるさと館がオープンしました。この施設は、大野城跡のプロジェクションマッピングや百間石垣をモチーフとしたウオールクライミングをはじめ、市民の皆さんが体験しながら興味を持って歴史などを学び、世代を越えた交流を深めることができる市民ミュージアムであります。オープン僅か一年で十万人の入場者を迎えるなど非常に好評となっています。このように近年では体験、体感ができる施設が人気となっており、その実感を得られるワンヘルスの森を整備することはワンヘルスの理念の周知推進に寄与するものと考えます。  そこで、改めてこの四王寺県民の森がワンヘルスを実感できる場としてどのように適しているのかをお答えください。 326 ◯佐伯林業振興課長 園内には多くの遊歩道コースがありまして、縦横無尽に入っております。利用者のニーズに合わせました森林内での散策が可能となっております。また、三百四十二ヘクタールに及ぶ広大な園内には多様な森林が広がっており、キツネやカワセミなどといった野生生物も生息をしております。このように健全な森林内で散策などを行いながら、生き物の息遣いを感じ、心身を整えることができるなど、人と動物、環境の健全性は一つというワンヘルスの理念を実感することが可能となっております。 327 ◯井上順吾委員 私は数年前に、四王寺山を語る会の代表としてドローンを飛ばして、四王寺山の四季と題してDVDを制作しました。春は桜、夏は緑、秋は紅葉、冬は澄んだ空気や雪景色が楽しめるなど四季折々の森林の美しさもあり、野鳥も多く生息しており、この森に入るだけで心身が健やかになる気がします。こうした森林の働きは科学的にも実証されているとのことであります。二月十三日に開催された福岡県“OneHealth”国際フォーラム二〇二二において、県民講座として日本医科大学の李教授からも講話がありました。森林の機能による健康づくりへの取組については、その著書が欧米でも発行され、森林浴は国際語ともなっており、その効能に注目が集まっているところであります。  そこで、森林が有する健康づくりの効能について詳しくお聞かせください。 328 ◯佐伯林業振興課長 森林総合研究所や日本医科大学などによりますと、森林の持つ癒やし効果の科学的解明に関する研究が行われております。これらの研究では、森林内でストレスホルモンが低減されること、副交感神経活動が高まり、血圧や脈拍数低下などが見られること、このような効果が免疫力を高めることなどが実証をされております。これらのことから、森林浴を行うことはストレス状態の改善や意欲の回復、自律神経系の改善、リハビリテーション効果などがあると言われております。 329 ◯井上順吾委員 今申し上げましたDVD四王寺山の四季、これは、一月の末に都倉文化庁長官とお会いするということで上京いたしました。残念ながらコロナ禍でリモートということになりましたので、文化庁審議官とお会いをしました。そして、このDVDを見られてとてもびっくりされておりまして、密かに今文化庁では話題になっているということであります。その紹介を終えまして、次に入りたいと思います。  先ほどお答えいただいたように、四王寺県民の森には多様な道、遊歩道があります。特に大野城市側からは標高百メートルの位置から大城林道で入れますし、駐車場も整備されており、そこからは歴史の散歩道で標高四百メートルの地点までの登山も可能であります。また、勾配が緩やかな遊歩道も縦横に走っており、ウオーキングや愛犬を連れての散歩をする方も多く、特に今のコロナ禍ではこの四王寺山に登られる愛好者が増えているように思います。また、遊歩道の周囲には四王寺県民の森が設置されて、約五十年も経た多様な樹木があります。これからの季節は、樹木に若葉が芽生え、命の躍動を感じることができます。今お答えいただいたように、森林浴そのものに健康効果があるということであります。  そこで、登山やウオーキングなどの運動を行うことは、さらに県民の健康づくりに有効であり、この四王寺山に来ていただくことは、まさにワンヘルスの活動と言えます。あわせて、この四王寺県民の森は高速のインターチェンジや空港からも非常に近く、都心部にこれほど豊かな県民の森があるということは全国でも有数のものであります。県内外の方々にも来訪してもらいやすく、ワンヘルスを体験する施設として格好の場所と言えます。  では、実際にワンヘルスの森としてどのような整備をするのか、そしてどのように県民にワンヘルスを実感していただくかをお答えください。 330 ◯佐伯林業振興課長 園内にあります学習展示館に人と動物と森林の関わりなどを開設するパネルなどの展示物を整備するほか、センダンの展示林も整備をいたします。  また、ワンヘルスを理解していただくために、ワンヘルスガイドを育成しまして、来訪した県民に対しましてワンヘルスツアーなどを実施してまいります。特に教育庁と連携しまして、社会科見学や遠足などの教育的利用や健康づくりへの利用を働きかけることでワンヘルスの森の利用を推進してまいります。 331 ◯井上順吾委員 ただいまお答えがあったように、その整備について冒頭でも触れましたが、FAVA大会までにぜひ間に合わせて、参加される方に十分ワンヘルスを実感していただきたいものであります。そもそもFAVA大会は、アジア・オセアニア地域、二十三の国と地域から三千名の方が参加されると聞いています。このような機会にワンヘルスの森にお越しいただくということは、四王寺県民の森、ワンヘルスの森のすばらしさを国内外に発信することにつながります。  そこで、このFAVA大会を契機にどのようにワンヘルスの森を紹介するかをお聞かせください。 332 ◯佐伯林業振興課長 FAVA大会は、国内で唯一ワンヘルス推進基本条例を有します本県のワンヘルスの取組を発信していく絶好の機会と考えております。このため、県としましてはこの大会までに間に合うように整備を実施しまして、FAVA大会参加者をワンヘルスの森にお招きし、多様な森林内で森林浴やセンダンの植栽を体験していただきたいと考えております。こうした体験を通じまして、ワンヘルスの森という先進的なワンヘルスの取組をしっかり国内外に発信してまいります。あわせまして、こうした取組をホームページやSNSなどで広く周知しまして、県民へのPRにも努めてまいります。 333 ◯井上順吾委員 昨年の九月議会の決算特別委員会において私からも質問させていただきました、この四王寺県民の森は令和八年で創設五十周年を迎えます。この創設五十周年に向けて、歴史の大パノラマ歴史展望台の設置が県民の森の機能を強化し、来場者の増加につながるだけでなく、地域振興にもつながるとお伝えしました。その県民の森で、今お答えがあったように利用の促進が図られるということは、さらに多くの県民の関心を得て一層の来場者の増加につながると、地元としても非常にありがたく思っています。  また、ワンヘルスツアーが開催されるということですが、体感・体験というのはワンヘルスの実感には非常に有効だと考えます。ガイドの育成、展示などを学習した上で、実際森林内での散策等のガイドツアーにしっかりと取り組んでいただきたいと思います。そして、お答えいただいたように社会教育活動への働きかけはワンヘルスの理念を県民に理解してもらうために非常に有効だと思いますが、こうした取組は周辺自治体との連携が不可欠だと考えます。その上で、ワンヘルスの森は末永く県民に親しんでもらわなければなりません。  そこで最後に、このワンヘルスの森が四王寺県民の森の価値を最大限に生かし、ワンヘルス推進の象徴となるよう地元の大野城市、太宰府市、宇美町と連携を密にし、一過性の取組とならないようにワンヘルスの実践をしていただきたいと思いますが、部長の決意をお聞かせください。 334 ◯渡辺美穂副委員長 重吉農林水産部長。 335 ◯重吉農林水産部長 歴史的にも重要な場所であります四王寺県民の森は、豊かな自然が広がり、多様な野生生物も生息するなどワンヘルスを象徴する場として格好の森林公園であります。県としましては、多くの県民の皆さんにワンヘルスの森に訪れ、人と動物の健康と環境の健全性は一つということを実感していただきたいと考えております。このため、地元市町とも緊密に連携しまして、着実に整備を進めるとともに、ワンヘルスの森のさらなる充実に向けた施設整備などの検討も行いながら、ワンヘルスを象徴する森となるよう計画的に取り組んでまいります。 336 ◯井上順吾委員 今、部長のほうからしっかりした答弁をいただきました。でも、このワンヘルスの推進は、知事の幅広い県政の中でも重点を置いて取り組んでいく柱の一つでありますので、このことはぜひ知事にお伺いしたいと思います。委員長、知事保留質疑の取り計らいをお願いいたします。 337 ◯渡辺美穂副委員長 ただいま井上順吾委員から申出のありました知事保留質疑を認めることにいたします。なお、知事保留質疑は三月二十二日火曜日に行う予定でありますので御了承願います。 338 ◯井上順吾委員 ありがとうございました。(拍手) 339 ◯渡辺美穂副委員長 この際しばらく休憩いたします。再開は午後四時十分といたします。    午 後 三 時 五 十 四 分 休 憩    午 後 四 時 十 分 再 開 340 ◯吉松源昭委員長 ただいまから委員会を再開します。  休憩前に引き続き議事を進めます。  第六款農林水産業費について、ほかに質疑はありませんか。江口善明委員。 341 ◯江口善明委員 緑友会福岡県議団の江口善明です。  質問通告に従い、新規就農者を増やすための取組について質問させていただきたいと思っています。  青年就農給付金、そして、現在の農業次世代人材投資資金が、制度の創立から十年がたちました。様々な形で新規就農者に対するデータの蓄積等々があると思いますので、そのデータを通して、今後の在り方についてただしていきたいと思っております。  執行部に、新規就農者の状況に関する資料を要求しておりますので、委員長、お取り計らいをお願いいたします。 342 ◯吉松源昭委員長 お諮りいたします。  ただいま江口委員から要求がありました資料を委員会資料として要求することに御異議ありませんか。      〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕 343 ◯吉松源昭委員長 御異議がありませんので、本委員会の要求資料といたします。  執行部に申し上げます。ただいま江口委員から要求がありました資料については提出できますか。川口後継人材育成室長。 344 ◯川口後継人材育成室長 直ちに提出いたします。 345 ◯吉松源昭委員長 資料を正副委員長に確認させてください。      〔資料確認〕 346 ◯吉松源昭委員長 事務局は資料を配付してください。      〔資料配付〕 347 ◯吉松源昭委員長 資料が配付されましたので、江口委員、質疑を行ってください。 348 ◯江口善明委員 それでは、資料の説明をお願いします。 349 ◯川口後継人材育成室長 それでは、図一を御覧ください。直近五か年の新規就農者の推移を見ますと、平成二十九年度以降、三百八十名を超えており、令和二年度は過去最多の三百八十七名となっております。このうち、法人等に雇用される形で就農する方は百六十九名で全体の四四%、農外からの新規参入は百十九名で三〇%、親元で就農するUターンと新規学卒は合わせて九十九名で二六%となっております。  図二の年代別では、二十九歳以下が三二%と最も多く、四十九歳以下で全体の八九%を占めております。  図三の地域別では、朝倉地区が三〇%と最も多く、次いで福岡地区が二七%となっております。  図四の経営部門別では、あまおうなどの施設野菜が四三%、レタスなどの露地野菜が一八%、水稲や麦などの普通作が一四%の順となっております。 350 ◯江口善明委員 私も大体、図一の新規就農者数というのはよく見せていただいていますが、年代別、地域別、そして経営部門別で、どういう形の方が就農されているかというイメージが分かってくるのかと思うので、数点質問させていただきます。  年代別の割合を見てみますと、二十代、三十代、約六割を占めております。また、五十歳以上の方も約一割いらっしゃいます。新規就農者の平均年齢、男女比、そして一般的なイメージはどのようなものか、まずお尋ねいたします。 351 ◯川口後継人材育成室長 令和二年度の新規就農者の平均年齢は三十五歳となっております。また男女の割合は、男性が七六%、女性が二四%となっており、三十代を中心に、御夫婦で就農されるケースが多くなっております。 352 ◯江口善明委員 続きまして、地域別の割合をお伺いしたいと思っております。この地域別、農林事務所管内というところで分けていただきましたが、福岡農林事務所管内と朝倉農林事務所管内で約六割を占めております。また、筑後農林事務所も多いということで、非常に県南が農業が盛んというのは分かりますが、行橋農林事務所管内と八幡農林事務所管内は低い傾向にあります。その理由は何が考えられますでしょうか。 353 ◯川口後継人材育成室長 新規就農者は、農業が盛んな地域に就農を希望される方が多いため、県南地域を中心に新規就農者が集まる傾向があるものと考えております。 354 ◯江口善明委員 それでは、年齢別、地域別をお伺いいたしました。その中でどういった方々が就農されているのかについて、数点質問させていただきたいと思っています。  新規就農の約半数を占める雇用就農者について、お伺いをいたします。恐らく雇用就農の方が今、多いんですが、その方もずっと雇用されるという形態ではないと思います。飲食業でもそうでしょうが、大体独立を考えられてある。雇用就農者も独立を目指しておられる方が多いと思いますし、そういった次のステップ、独立に向けた支援について、本県はどのような取組をされているのかお伺いいたします。 355 ◯川口後継人材育成室長 雇用就農者につきましては、農業の技術は雇用期間中に習得されておりますが、独立する場合は経営ノウハウを学ぶ必要がございます。このため県では、農業経営を体系的に学ぶふくおか農業経営アカデミーを開講し、独立を考えている雇用就農者にも参加いただいているところです。また、実際に独立して農業経営を開始される場合には、ハウス施設や機械等の導入を支援しております。 356 ◯江口善明委員 続きまして、農外からの新規参入者についてお伺いをしたいと思っております。農外からの新規就農者の方々については、技術の面であったり、資金面であったり、様々な悩みだったり課題があると思います。どういった要望をお聞きしているか、そして本県はその要望、御意見に対してどのような支援を行っているのか、お伺いをいたします。 357 ◯川口後継人材育成室長 新規参入者からは、技術面や経営面などへの支援が求められております。農外からの新規参入者が営農を継続していくためには、農業の基礎知識や技術の習得が必要となるため、普及指導センターにおいて、土づくりや病害虫対策、農業簿記などの基礎を学ぶ営農講座を実施しております。あわせて、個別に現地を巡回し、それぞれの課題に応じた技術面、経営面からの指導を行っております。  また、新規参入者の多くが当面の生活費などに不安があることから、国の交付金制度を活用し、就農前後の所得の確保を支援しております。 358 ◯江口善明委員 生活に対する不安があるということで、国も先ほど申し上げました農業次世代人材投資資金という形で、就農前は二年間、そして、また就農後は五年という形で、なかなか五年ぐらいたたないと技術がという話はありますが、それだけの支援はあるかもしれませんが、逆に五年間は非常に不安だというところがあろうかと思います。特に、新規就農の方の、不安な面というのはやはり設備投資の面だと思います。その件でお伺いをしたいと思っています。  経営部門別の割合を見ますと、施設野菜が多いです。初期投資の負担が特に多いと思いますが、例えばあまおうの場合、ビニールハウスや農機具の整備にはどのぐらいの経費がかかるのかお伺いをいたします。 359 ◯川口後継人材育成室長 あまおうの栽培を始める場合は、平均的な経営面積は約二十アールとなっております。これに必要なハウス施設は約二千七百万円となっており、このほかに予冷庫やトラクターなどの機械類で四百万円程度が必要となります。 360 ◯江口善明委員 なかなか、先ほど御答弁いただいた二千七百万足す四百万、三千万を一気に用意ができるという方もいらっしゃらないし、実際は、やはり高齢でイチゴの栽培をやめるという人から譲ってもらうなり借りるというのが、一番現実的な課題だと思っております。  私は、こうした施設野菜での新規就農の課題というのは、先ほど申し上げましたとおり、設備投資をいかに低く、なるだけ負担がかからない中で就農していくかということが非常に重要な課題だと思っております。そのためには、JA、そして市町村も今、就農相談というのをやっておりますが、やはり県が主体的にぜひ取り組んでいただきたい。特にJAでの相談であればどうしてもJA管内になるでしょうし、市町村であれば市町村管内になろうかと思います。私の地元の久留米市はJAが五つありますし、そういった中で本県として、JA、そして市町村をまたいででも、中古のビニールハウス等々のあっせんだったりマッチングをしていくべきだと思いますが、どのような取組を行っているのかお伺いをいたします。 361 ◯川口後継人材育成室長 県では、既存施設の有効利用や、新規就農者の初期投資の負担軽減の観点から、中古ハウスの利用を推進しているところであり、ハウスの補強など、施設の長寿命化に係る費用を支援しているところであります。また、普及指導センターやJA、市町村などで組織する新規就農者育成のための協議会等におきまして、中古ハウスなどの情報を収集し、市町村域を超えて就農希望者とのマッチングを進めているところでございます。 362 ◯江口善明委員 園芸農業の後継者対策をお伺いいたしましたが、ちょっと視点を変えて、土地利用型農業の後継者対策についてお伺いをしたいと思っております。  米、麦、大豆を中心とした土地利用型の農業、今は集落営農組織が担っておりますが、特に現在、オペレーターの確保に非常に苦労されています。こうした土地利用型の農業というのは、もちろん農家収益を上げるためには園芸農業は大事ですが、特に今のウクライナの現況もありますが、食糧安全保障という面では、土地利用型というのは、ぜひとも我が国で必要な農業形態であろうと思いますので、土地利用型農業の担い手対策を本県としてどのように考えているのか、お伺いをいたします。 363 ◯吉松源昭委員長 徳田水田農業振興課長。 364 ◯徳田水田農業振興課長 オペレーターを確保していくためには、集落内の若手後継者の加入促進に加えまして、外部からの人材も雇用していく必要があります。このためには集落営農組織の収益力向上が必要であることから、県では、園芸品目を取り入れた経営の複合化、そして法人化を推進しております。 365 ◯江口善明委員 最後に農林水産部長にお伺いをしたいと思っておりますが、新規就農者の状況についてというので資料要求をさせていただいて、私も改めて感じたことは、やっぱり三十代の御夫婦が多いと。そして、その御夫婦が就農するに当たって一番苦労されているのは、生活もそうですが、やはり設備投資にお金がかかる。それをいかに軽くしていくか。そのためには、農業を引退される、リタイアされる方々からの引継ぎも含めてやっていくということが大事だと思っておりますし、特に新規就農者の数がどんどんと増えていることは、私は非常にいいことだと思っております。  今までのデータが大分蓄積されていると思っているんですよ。だからこそ、より実証的に、より効果的な、新規就農者を増やす取組をぜひともやっていただきたい。そして、新たに農業に興味を持っていただく方に何が課題なのか、単に農業はきついばいという精神論ではいけないと思うんですよね。より具体的に、何が課題で、どういったことを解決すればなるだけスムーズにいけるのかということを広く知っていただく、そしてまた、新規就農に汗をかいていただいている県の職員、そして市町村の職員、JAの皆様方も含めて、情報を共有していくことが必要だと思いますので、そういったことも含めて、新規就農者を増やす取組について、農林水産部長から決意をお伺いしたいと思います。 366 ◯吉松源昭委員長 重吉農林水産部長。 367 ◯重吉農林水産部長 新規就農者を確保、育成していくためには、就農前に技術を習得することや、初期投資の負担を軽減することが必要であります。このため、国の交付金制度の活用に加えまして、来年度からは新たに、就農前に栽培技術を習得できるJAの研修用ハウスの整備や、営農開始に必要な機械の導入を支援してまいります。今後ともこうした取組を通じまして、新規就農者を一人でも多く確保し、本県農業の次代を担う人材の育成に努めてまいります。 368 ◯江口善明委員 終わります。ありがとうございました。(拍手) 369 ◯吉松源昭委員長 ほかに質疑はありませんか。川端耕一委員。 370 ◯川端耕一委員 自民党県議団の川端耕一です。  通告に従い、北九州地区の漁業振興についてお伺いいたします。  私の地元、北九州市門司区には、東部に本県と山口県、大分県に囲まれた豊前海、北部には山口県との間を東西に流れる関門海峡があります。この海では、春先にはコウイカから始まり、夏は関門海峡たこ、秋口からは豊前本ガニ、冬には豊前海一粒かきといった、四季折々に特色のある水産物が水揚げされます。産地に通じる沿海道路には、北九州市により北九州カニ・カキロードという名前もつけられ、そのPRも盛んに行われています。  そこでまず、豊前海一粒かきについてお尋ねいたします。豊前海では、冬にはノリ養殖が行われていたと記憶していますが、養殖カキはいつ頃、どこで導入されたものなのか、また、門司区での生産量はどのような状況なのか、お答えください。 371 ◯吉松源昭委員長 上妻水産振興課長。 372 ◯上妻水産振興課長 豊前海でのカキ養殖は、昭和五十八年に門司区の恒見地区で初めて導入されまして、ここが豊前海一粒かきの発祥の地であり、県内のカキ養殖の発祥の地でもございます。現在、門司区では約千百トンのカキが生産され、豊前海一粒かき生産量の約七割を占める県内最大の産地となっております。 373 ◯川端耕一委員 門司区が県内カキ養殖の発祥の地であり、最大の産地となっていることは、大変誇らしいことでもあります。糸島とかあちこちでもカキは有名でありますが、門司が発祥の地ということであります。今後もその地位を維持してもらいたいと考えていますが、最近、カキの産地でもある静岡県の浜名湖では、魚による食害が深刻であるというニュースを聞きましたが、豊前海でもそのようなことがあるのか、また、どのような対策を行っているのかお答えください。 374 ◯上妻水産振興課長 豊前海においても近年増えてきたクロダイによる稚貝の食害を低減するため、県では、カキの種苗を束ねてつるす技術を開発しまして、漁業者に普及しているところです。この取組は、今月の初めに開催されました第二十七回全国青年・女性交流大会の中で、恒見地区の若手漁業者から報告がなされております。その結果、この大会において高く評価されており、農林水産大臣賞を受賞したところでございます。 375 ◯川端耕一委員 私も知らなかったんですけども、そのような賞を受賞できたことは、地元の漁業者にとっても、今後の生産の励みにつながるもので、喜ばしいことであります。  生産対策は分かりましたが、カキといえばノロウイルスの原因食品として悪者扱いされることも多いことから、特に衛生管理対策をしっかり行う必要があると考えますが、この点ではどのような対策が講じられているでしょうか。 376 ◯上妻水産振興課長 県では、消費者の皆様に対しまして安全で安心なカキを届けられるよう、毎年、収穫が始まる前の十月頃に、漁業者が開催しますカキ衛生講習会に、県の水産海洋技術センターの職員を派遣しまして、漁業者の衛生管理に対する意識向上に努めております。この講習会などを受けて、全ての漁業者が出荷前に殺菌海水で二十四時間浄化するとともに、定期的にノロウイルスを検査しているところです。 377 ◯川端耕一委員 そうした衛生管理の徹底は、カキを御購入いただいている消費者の皆様への信頼につながる、大変重要な取組でありますので、今後ともぜひ継続していただきたいと思います。  ところで、コロナ禍で販売のほうが心配されますが、どのような状況なのでしょうか。 378 ◯上妻水産振興課長 豊前海一粒かきの七割は、宅配便を活用して主に家庭向けに販売されております。生きた殻つきのカキを宅配便で販売する方法は、豊前海の漁業者が全国に先駆けて行ってきた取組でございます。こうした家庭向けの需要はコロナ禍でも堅調なことから、販売のほうは順調に行われております。 379 ◯川端耕一委員 今後とも、豊前海一粒かきの生産から販売に至る対策を継続し、県のブランド水産物として維持されるよう、しっかりと取り組んでいただくことを要望しておきます。
     次に、豊前本ガニについてお尋ねいたします。豊前本ガニは養殖ガキとは異なり、天然の水産物でありますので、その資源を増やす取組が重要になってくると考えます。特にカニの産地であります豊前海北部漁協の柄杓田地区では、漁協の事務所の前に大きな育成水槽があり、その水槽を用いて漁業者の皆さんが稚ガニを大切に育て、大きくして放流していると聞いております。この取組に対して、県ではどのような指導を行っているのかお聞かせください。 380 ◯上妻水産振興課長 県では、公益財団法人ふくおか豊かな海づくり協会が行う種苗の生産を支援し、健全なカニの種苗の安定供給に努めておるところです。また、漁業者がこの種苗を稚ガニへと育てる現場を巡回しまして、育成する際の適正な餌の量、水替えの時期、こういったものを指導しているところでございます。 381 ◯川端耕一委員 稚ガニを放流することに加えて、資源管理や産卵する親ガニの保護も有効と考えますが、どのようなことを行っているのでしょうか。 382 ◯上妻水産振興課長 県ではカニの資源を守るために、甲羅の長さが十三センチ未満のものは採捕禁止としているところです。また、卵を持った親ガニを守るため、これが漁獲された場合、甲羅に白いマジックでトルナと片仮名で書きまして、海に戻す取組を指導しておるところです。 383 ◯川端耕一委員 今、トルナと書くという話で笑われたかもしれませんが、これは結構有効な取組だそうであります。皮を脱皮したら消えてなくなるということで、すごく有効な取組らしいとのことであります。  カキやカニは分かりましたが、関門地区では関門海峡たこも有名であります。タコもカニと同様、天然の水産物なので、資源を増やす取組が必要であると考えますが、どのような取組を行っているのかお答えください。 384 ◯上妻水産振興課長 タコを増やすには、産卵する親ダコの保護や資源管理の取組が有効でございます。このため、平成二十四年から産卵用にタコつぼを海底に設置する取組を進めておりまして、県はこの経費に対して支援を行っているところです。また、資源管理として、体重四百グラム未満のタコの採捕を禁止しております。 385 ◯川端耕一委員 その関門海峡たこについて地元の漁業者さんに聞きますと、最近、ハモによる被害が多いと嘆く声も聞こえてきます。ハモは地域によっては高級魚とされておりますが、タコにとっては天敵であります。また、ハモ対策においても、燃料高でなかなか厳しい状況であると現場からは聞いております。そのような中、ハモからタコを守るための対策として、どのようなことが考えられるのかお聞かせください。 386 ◯上妻水産振興課長 ハモの主な生息場所は砂泥質の海底ですけれども、タコは岩場をすみかとしておりますことから、一定のすみ分けはできていると考えております。このため、天然の岩場に代わる自然石を投入しまして、タコの隠れ家や産卵する場所を増やす、こういったことがハモから守る対策につながると考えております。 387 ◯川端耕一委員 自然石の投入といえば、今年度、県・国の支援を受け、北九州市が主体となり、関門海峡の中にある釜床ノ瀬と言われる場所で投石事業を行っております。たしかこの事業はメバルやカサゴを増やす目的と聞いておりましたが、タコを守る場所としても役立つということは大変興味深い話であります。さらにその効果を高めるためには、どういった対応が考えられるのかお答えください。 388 ◯上妻水産振興課長 投石を行った漁場にタコがより隠れやすく、また、稚ダコの餌場や育成場としての効果を発揮するためには、その漁場に海藻を根づかせ、繁茂させることが有効であると考えております。 389 ◯川端耕一委員 そうであれば、今後、投石した漁場に海藻を増やす取組を進めるべきだと思いますが、考えをお聞かせください。 390 ◯上妻水産振興課長 投石した漁場に海藻を増やすためには、海藻の種を投入すること、あるいは海藻の種がついたロープを石に巻き付ける、こういった方法がございます。関門海峡は流れが速く、その作業が困難であると思いますけれども、潮止まりを見計らうなど工夫しまして、投石した漁場に海藻が根づくよう、海藻の種の投入といったことを試みてまいります。 391 ◯川端耕一委員 ぜひ、そういった挑戦をやっていただきたいと思います。  これまで答弁がありましたが、地域の漁業者と一緒になって様々なアイデアを出し合い、取り組まれていることは理解しました。また、この質問をつくるに当たり、非常に水産業について私も勉強になりましたし、課長と局長も海に実際に潜って、海底の底をずっと調べ上げているという御努力もお聞きしました。本当にすごいなと感動しましたけども、今後、この北九州地区の魅力あふれる水産物が、地元はもちろん全国各地の消費者の皆様のニーズに応え、売り出していけるよう、今以上に生産の拡大が必要と考えておりますので、漁業者の皆様お一人お一人の声にしっかりと耳を傾け、誠意と熱意を持って対応していただきたいと思います。  最後に、北九州地区の漁業振興に対する農林水産部長の決意をお聞かせください。 392 ◯吉松源昭委員長 重吉農林水産部長。 393 ◯重吉農林水産部長 北九州地区の漁業の振興を図るためには、豊前海一粒かき、豊前本ガニ、関門海峡たこといった、本県が誇る水産物の生産を拡大し、その魅力を発信することで、販売につなげることが必要であります。このため県では、引き続きカキの食害防止対策やカニの種苗放流、投石した漁場に海藻を増やしタコを守る取組などについて、漁業者に対しまして指導、支援を行ってまいります。また、これら水産物の魅力を発信するため、県のホームページや福岡の地魚応援の店を活用したフェアを通じ、地域の水産物をしっかりPRしてまいります。今後ともこうした取組を通じまして、北九州地区の漁業振興に努めてまいります。 394 ◯川端耕一委員 部長の決意はお聞きしました。北九州地区の漁業振興について、よろしくお願いいたします。委員の皆さんも、門司には大変おいしい食材がいっぱいありますので、ぜひ皆さん、お越しいただければと思います。  燃料高騰の問題、さらに北九州地区での漁業振興について、知事の考えをお聞きしたいと思いますので、委員長、知事保留質疑の取り計らいをよろしくお願いいたします。 395 ◯吉松源昭委員長 ただいま川端委員から申出がありました知事保留質疑を認めることにいたします。  なお、知事保留質疑は三月二十二日火曜日に行う予定でありますので、御了承願います。 396 ◯川端耕一委員 ありがとうございました。(拍手) 397 ◯吉松源昭委員長 ほかに質疑はありませんか。井上博行委員。 398 ◯井上博行委員 自民党県議団の井上博行です。  通告に従いまして、農林水産物の輸出促進について質問をさせていただきます。  我が県で作られた、非常に質が高く、高付加価値の農林水産物を海外に輸出していくことで、農林水産業が福岡県を牽引する成長産業になると考えます。令和元年九月議会の私の一般質問で、農林水産物の輸出についてお尋ねしましたが、本県では、日本の青果物の人気が高い香港や台湾などアジアをはじめとする海外への販路拡大に取り組んでいるとのことでした。  しかしながら現状では、輸出先の動植物検疫条件、あるいは残留農薬基準などを満たす必要など、輸出促進のハードルとなっているものがあるということを前知事から御答弁を頂戴し、承知しております。県では、これらの輸出規制に関する勉強会を開催し、輸出向け産地の育成を進めてきた結果、JA粕屋が台湾向けあまおう、JAふくおか八女が台湾及び米国向けミカン、JAにじとJA筑前あさくらが米国向け柿の輸出を行っているとのことでした。  それでは、その後の取組についてお聞かせください。 399 ◯吉松源昭委員長 山北輸出促進課長。 400 ◯山北輸出促進課長 県では、輸出に取り組む産地の育成拡大を図るため、輸出に関心がある生産者やJAに対し、残留農薬基準等の情報提供や、検疫対象となる病害虫の防除指導を行うとともに、検疫上必要な生産園地などの登録の支援を行っております。これらの取組により、令和元年度以降、タイ向けに、JA福岡大城やJA糸島などがあまおう、JAふくおか八女やJAみなみ筑後がブドウの輸出を開始しております。 401 ◯井上博行委員 現在、国会では、農林水産物及び食品の輸出の促進に関する法律等の一部を改正する法律案を審議中と聞いております。令和二年四月に施行された農林水産物及び食品の輸出の促進に関する法律は、我が国の農林水産物・食品の輸出促進を図るため、政府一体となって輸出に取り組む組織の設置や、輸出促進に関する基本方針の策定及び実行計画の作成、輸出に取り組む事業者等への支援などを行うことを定めています。今回の改正法案の内容はどういったものでしょうか、お聞かせください。 402 ◯山北輸出促進課長 国は二〇三〇年に、農林水産物・食品の輸出額を五兆円にするという目標の達成に向け、昨年十二月に農林水産物・食品の輸出拡大実行戦略を改定しました。今回の法改正は、この戦略の中で打ち出されておりました、農林水産物の輸出拡大に取り組む関係者等で構成する品目団体を国が認定し、支援する仕組みを設けることや、輸出事業計画の認定を受けた事業者に対する金融支援の創設、輸出手続の円滑化といった、輸出に関する制度面について法的に整備するものです。 403 ◯井上博行委員 今、課長答弁におきまして、今回の改正法案は国の輸出拡大実行戦略を受けてのものとのことでした。この国の輸出拡大実行戦略について簡単に説明してください。 404 ◯山北輸出促進課長 この戦略では、輸出額目標の達成に向け、日本が強みを持つ二十八品目を輸出重点品目に設定するとともに、輸出に取り組む産地をリスト化し、技術指導や資金面で集中的に支援するなど、政府一体となって輸出を後押しする具体的施策が示されております。本県は、イチゴ、かんきつ、柿、茶、鶏肉、清酒、焼酎などの品目で産地リストに入っているところです。 405 ◯井上博行委員 先日、国は、令和三年の農林水産物・食品の輸出額が一兆二千三百八十五億円と、初めて一兆円を超えたと発表しました。新型コロナウイルス禍の中、世界的な巣籠もり需要や、中国や米国などの経済活動が回復傾向に向かい、外食需要も回復したことなどによって、多くの品目で輸出額が伸びたことが要因とのことであります。  国は、今回の法改正に見られるように、さらなる輸出拡大のため、輸出に関する取組を加速させていくものと思いますが、県では、国の輸出拡大実行戦略を今後どのように活用していくのかをお尋ねいたします。 406 ◯山北輸出促進課長 国の産地リストに掲載されますと、国庫補助事業の優先対策を受けることができます。本県では現在、国の事業を活用し、柿とかんきつについて、輸出に必要な病害虫の防除や薬剤処理作業の効率化の実証を行っているところです。また、酒蔵の輸出向けラインの新設など、県内食品事業者が行う輸出に関連する施設整備の支援も行っております。今後とも、こうした国の事業を積極的に活用してまいります。 407 ◯井上博行委員 今回の法改正で、オールジャパンで活動する品目団体が創設されるとのことです。最近、海外輸出業をされている業界の方にお聞きしましたところ、日本の農産物は品質が非常に高く、安心で、海外の富裕層にも好まれるものであるそうですが、一方で、例えば福岡県産とか国内の産地を言っても、私たちが海外の国の地域名に詳しくないのと同様に、海外の方には、どこの国の商品なのかが分からないということもあるとのことでした。例えば、全てに日本の国旗を統一的デザインでつけるなど、海外の方々が見て一目で日本産だと分かるよう、各県ばらばらではなく、ブロックや地域でまとまるオールジャパンの取組が必要ではないかと思います。  さらなる輸出促進のために取り得る方法は、このほかにも多岐にわたるものであり、もちろん、これは福岡県だけで解決できる問題ではないと思います。しかし、現在国会で法案審議もされているところでありますので、これを好機として、福岡県産の農林水産物のさらなる輸出促進のため、国や各都道府県と連携して取り組むべきではないかと思います。この点についてお考えをお聞かせください。 408 ◯山北輸出促進課長 本県では、九州各県と連携して実施している海外量販店等での販売促進フェアにおいて、九州は一つのロゴマークが入ったポスターやバナーを活用し、九州一体となって農林水産物の輸出促進を図っております。また、本県が加入している青果物の輸出に関する全国的な協議会において、日本各地の青果物をリレー輸出し、安定的に現地に提供することで、ジャパンブランドの定着を図ることなどが検討されております。県といたしましては、こうした動きも捉えながら輸出に取り組んでまいります。 409 ◯井上博行委員 人口減少や少子高齢化により国内需要が減少する中、本県の農林水産業を発展させていくために、輸出のさらなる拡大を図っていくことが不可欠であると考えます。今後の福岡県のさらなる農林水産物輸出促進について、部長の決意を最後にお聞かせください。 410 ◯吉松源昭委員長 重吉農林水産部長。 411 ◯重吉農林水産部長 県ではこれまで、輸出先国の残留農薬基準に対応した産地づくりのほか、海外の量販店や日本食レストランにおけます販売促進フェアの開催や海外展示商談会への出展、バイヤーの産地への招聘などに取り組んでまいりました。また、現在は新型コロナへの対応として、ウェブを活用した商談や、SNSやインフルエンサーによりますPRを実施しているところでございます。  来年度からは、これまでの取組に加え、有望な市場であるアメリカへの八女茶、それとあとミカンの輸出拡大に向け、新たに生産に取り組む農業者への支援や、検疫に必要な機器の整備など、産地づくりの取組を強化することとしております。今回の法改正で、国の輸出の取組がより充実されることになります。県としましても、今後とも国の事業も積極的に活用し、一層の輸出拡大を図ってまいります。 412 ◯井上博行委員 終わります。(拍手) 413 ◯吉松源昭委員長 ほかに質疑はありませんか。花田尚彦委員。 414 ◯花田尚彦委員 自民党県議団の花田尚彦でございます。  通告に従いまして、水田農業の振興について質問いたします。  福岡県は、皆様御承知のとおり水田農業が盛んであるわけですが、我が選挙区である宮若市・鞍手郡も、大変おいしいお米が収穫されるほか、麦や大豆の生産も盛んであります。  この春、この地域にとってうれしいニュースが届きました。昭和四十九年から実施されております麦の表彰事業である全国麦作共励会におきまして、我が鞍手町の生産者の方が、最高位の農林水産大臣賞を受賞されたというものであります。この方は水稲十五・五ヘクタール、麦二十四・三ヘクタール、大豆二十六・六ヘクタールを経営されている大規模の農家さんでありまして、受賞の理由を調べてみましたところ、排水不良箇所も多い条件不利な地域にありながらも、積極的なスマート農業への取組や農地の集約化によって県内有数の大規模経営を実現し、収量、品質ともに優れるところが高く評価されているというものでありました。排水が不良な条件不利地でありながらも、それらを克服し、令和三年産の麦でその取組が日本一と認められたことは、御本人の栄誉にとどまらず、地域の生産者の励みとなりまして、また、今後の目標となると確信しているところであります。  そこで今回は、福岡県の水田農業、とりわけ麦の振興についてお聞きしていきたいと思います。初めに、福岡県は全国第二位の麦生産地と聞いておりますが、その生産はどのようになっているのか、麦の種類ごとにお答え願います。 415 ◯吉松源昭委員長 徳田水田農業振興課長。 416 ◯徳田水田農業振興課長 本県におきます令和三年産小麦の作付面積は一万六千ヘクタールで、北海道に次いで全国第二位となっております。同様に、大麦は五千七百九十ヘクタールで全国第三位、裸麦は四百八十二ヘクタールで全国第五位となっております。 417 ◯花田尚彦委員 一位の北海道は全国割合の半数を占めるということでありますので、その差は大きいですが、二位の小麦をはじめ、大麦、裸麦のいずれも全国有数の産地であることは分かりました。  次に、小麦、大麦、裸麦はそれぞれどのように使用されているのでしょうか。その用途をお尋ねいたします。 418 ◯徳田水田農業振興課長 主な用途ですが、小麦はパンやうどん、中華麺の原料、大麦はビールや焼酎の原料、裸麦はみその原料として、それぞれ使われております。 419 ◯花田尚彦委員 うどんやラーメン、ビールや焼酎などは私も大好きでありますが、多くの福岡県民に愛され、消費されているものですが、さすがに大半に福岡県産の麦が使われているということではないと思います。しかし、地産地消という観点で見ますと、福岡県で育成栽培、販売され始めて十三年目となるラー麦は、まさにそれに当たると思います。そこで、ラー麦の特性についてお伺いします。また、現在の生産状況も併せてお答えください。 420 ◯徳田水田農業振興課長 ラー麦は、本県がラーメン用として開発した品種でありまして、麺にしたときに腰が強く、ゆで伸びしにくく、また、香りがよいといった特徴がございます。令和三年産の作付面積は千八百二十ヘクタールとなっておりまして、本県小麦の一割強を占めており、生産量は八千七百トンとなっております。 421 ◯花田尚彦委員 先ほど御紹介した農家の方も、このラー麦を作っておられました。麦は福岡県水田農業の基幹作物の一つとして重要であり、今後もしっかり生産していくべきと考えます。麦を水田で生産するためには圃場の排水対策が欠かせず、さらにラー麦は四月上旬頃に肥料を追加する必要があり、最初のうちは大変だと感じられる生産者もいると伺いました。県はそれらの対策に取り組む生産者に対して、どのように支援をしておられるのでしょうか、お答えください。 422 ◯徳田水田農業振興課長 県では暗渠排水の整備を進めるとともに、適切な栽培管理を指導しております。また、中華麺やパン用の小麦につきましては、それ以外の品種と比べ、国の交付金が高く設定されております。ラー麦につきましては、その交付金を活用するとともに、産地ごとにたんぱく質含有率の分析を行いまして、翌年度の生産に活用できるよう、その情報をフィードバックして、高品質な麦生産を促進しておるところでございます。 423 ◯花田尚彦委員 このラー麦は、たんぱく質含有率の高さ、これが一つの大きなポイントであります。ラー麦は現状、福岡県を中心に、主に九州圏内で流通しているようでありますが、需給バランスを見ながら需要や販売先の拡大、また、品質、単価、生産性の向上を図っていく必要があると思います。それでは、そのようにして生産されたラー麦の需要拡大に向けた県の取組についてお答えください。 424 ◯徳田水田農業振興課長 県では、消費者に親しまれるようネーミングやロゴマークの作成を行うとともに、未使用ラーメン店へのサンプル提供や、ラー麦を使用した商品の開発を支援してまいりました。この結果、現在、県内でのラー麦の使用店舗は二百を超えておりまして、ラー麦を使用した商品の開発数は約百二十アイテムとなっております。引き続き関係団体と連携いたしまして、各種イベントへの出展などによりましてPRに取り組んでまいります。 425 ◯花田尚彦委員 ラー麦は、全国に先駆けて福岡県がラーメン用に開発された小麦でありまして、その取組経過は農林水産省のホームページでも、地域の食文化と結びついた導入事例として紹介されております。今後も福岡県の小麦生産の柱となるよう、生産振興のみならず販売促進のほうでも、より取り組んでいただきたいと思います。  次に、スマート農業関連で質問いたします。冒頭紹介しました、農林水産大臣賞を受賞された生産者の事例は、スマート農業を推進する上で非常に参考になる取組であると思います。また、我が会派の今議会の代表質問におきましても、水田農業をいかに稼げる産業にしていくかをただしたところでもあります。稼げる農業・産業の実現のためには、当然、麦についても生産コストの低減をはじめ、これまで以上の生産力の強化が必要と考えるところであります。  この生産コストの低減には、私もスマート農業が鍵を握っていると思いますが、昨年度から鞍手町でもその実証実験を行っていると聞いております。具体的にどのような取組を行っているのか、お答えください。 426 ◯徳田水田農業振興課長 この実証試験では、無人ロボットトラクターでの耕起や播種作業、ロボットコンバインでの収穫作業、さらにはドローンによる薬剤防除などを組み合わせたスマート農業機械の一貫体系によりまして、どの程度省力化できるかといった実証に取り組んでおります。 427 ◯花田尚彦委員 ありがとうございます。では、その実証実験で確認された成果についてお答えください。 428 ◯吉松源昭委員長 この際、委員各位に申し上げます。本日の審査は午後五時までを予定しておりましたが、議事の都合により、このまま続行させていただきます。よろしくお願いいたします。 429 ◯徳田水田農業振興課長 スマート農業機械による実証の結果、慣行栽培に比べまして一割程度の労働時間の削減が確認されました。また、ロボットトラクターによる作業では、機械操作の経験が少ない方でも、熟練者と同じように正確な作業が実施できました。さらにはロボットコンバインは、これまで把握できなかった圃場ごとの収量や品質のデータが把握できることから、高品質な麦の安定生産に向け、昨年のデータを今年の栽培管理に生かすことができていると生産者から聞いております。 430 ◯花田尚彦委員 こうした成果はもちろんですし、農林水産大臣賞を受賞された先ほどの生産者の経営内容を見てみますと、スマート農業の重要性を改めて認識したところでもあります。  これまでの議会でも先輩方が数多く質問で取り上げられておりますけれども、こうしたスマート農業の普及によって、農地や法人の集約化がより求められ、加えて、これら機械の使用やデータ活用ができる人材の育成なども必要となってくると思われます。県はこうしたスマート農業の推進を含め、今後どのように水田農業の振興に取り組んでいかれるのか、お尋ねいたします。 431 ◯徳田水田農業振興課長 県では、水田農業DX推進事業によりまして、スマート農業機械の導入を支援しているところでございます。あわせまして、導入したスマート農業機械が効率的に稼働できますよう、農地中間管理事業を活用して、担い手への農地の集積・集約化を推進するとともに、生産者自らが行います畦畔除去による圃場の大区画化の取組を支援しております。  また、排水対策や適切な栽培管理を徹底するとともに、今後は、スマート農業機械の使用方法を習得するための実演会や、機械から得られるデータの活用技術を習得するための研修会を行いまして、スマート農業に対応できる人材の育成にも取り組んでまいります。これらの取組によりまして、水田農業の生産力を強化し、その振興を図ってまいります。 432 ◯花田尚彦委員 今回は麦を中心に水田農業の振興策を考えてまいりましたが、今、ロシアによるウクライナ侵攻の影響等で、輸入小麦の四月以降の価格上昇が懸念されており、中期的には世界全体で穀物関連の調達競争が激化するとも言われております。したがって、国内自給率の維持・向上は必須となりますけれども、大豆も国内自給率は七%程度と、大半を輸入に頼っている状態であります。これからちくしB五号の普及推進も行われるとのことですので、それらも期待しまして質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) 433 ◯吉松源昭委員長 ほかに質疑はありませんか。      〔「なし」と呼ぶ者がある〕 434 ◯吉松源昭委員長 ないようですので、以上で、井上順吾委員、川端委員の知事保留質疑を残し、第六款農林水産業費に関する質疑を終わります。  以上で本日の議事を終了いたします。  なお、明日十六日水曜日の委員会は、午前十一時に開き、歳出第七款商工費及び第八款県土整備費の審査を行う予定でありますので、よろしくお願いいたします。  本日はこれをもって散会いたします。    午 後 五 時 二 分 散 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